仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2025年10月16日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
近年、ビットコインやイーサリアムをはじめとする仮想通貨(暗号資産)取引が急増しています。
仮想通貨で利益が出た場合は「所得税・住民税」の課税対象となり、確定申告が必要です。
しかし、いざ申告をしようとしても「どんな書類を準備すればいいのかわからない」という方が多いのではないでしょうか。
本記事では、仮想通貨の確定申告に必要な書類と、その効率的な準備方法を税理士の視点からわかりやすく解説します。
最後まで読むことで、申告漏れや税務リスクを防ぐための実践的なノウハウが身につきます。
目次
仮想通貨の確定申告を行うには、まず年間の損益を正確に計算する必要があります。
その際に必要となる書類は、主に以下の2種類に分かれます。
ただし、すべての取引所が年間報告書に対応しているわけではありません。特に、海外の仮想通貨取引所は年間取引報告書非対応となっています。
以下のような取引所以外で発生する取引も、課税対象です。
これらの履歴は自動では取得できないため、ブロックチェーンエクスプローラーなどを活用し、手動で記録する必要があります。
これは、損益計算の過程で必要となる資料です。実際の保有数と損益計算ツール上のコインの計算枚数を照合することで、損益計算の正確性を確認することができるため、年末時点での保有残高のわかる資料が必要となります。
仮想通貨の損益計算は、取引所や通貨の種類が増えるほど複雑になります。
ここでは代表的な方法を紹介します。
国税庁が公開している「暗号資産の計算用エクセル」を利用すれば、基本的な損益計算が可能です。
こちらからダウンロードが可能です。
ただし、この資料を利用するには、一定の条件があり、実務上、この資料を使えるのは非常に限定的となっています。
【国税庁のエクセルが使える条件】
・国内の仮想通貨取引所のみを利用している
・ICOなどに参加していない
・DeFi(ウォレット取引)を利用していない
・ステーキングやレンディングを行っていない
など
取引履歴をまとめ、自身の表計算ソフト等で管理する方法です。
関数を使って計算できる反面、時価の反映や取引履歴フォーマットの統一が必要で、取引が多い方には不向きです。
効率的に計算したい場合は、以下のような有料ツールの活用がおすすめです。
これらは国内外の取引所・ウォレット・DeFi取引にも対応しており、精度の高い損益計算が可能です。
取引が膨大な場合や税務リスクを避けたい場合は、仮想通貨に強い税理士に依頼するのが最も安心です。
費用はかかりますが、節税アドバイスも含めてトータルでメリットが大きいです。
仮想通貨の損益計算が完了したら、いよいよ確定申告書類の準備に入ります。
以下の書類を揃えておくとスムーズです。
書類 |
内容・入手先 |
仮想通貨の損益計算書 |
損益計算結果の一覧(添付不要だが保管義務あり) |
給与の源泉徴収票 |
会社員の場合、人事より1月頃に配布 |
その他の収入資料 |
事業所得・不動産所得・株式やFXの年間取引報告書など |
所得控除関係資料 |
保険料控除証明書・ふるさと納税受領証・医療費控除明細など |
注意点:
仮想通貨の損益計算書は申告書に添付不要ですが、保存義務があります。最大で7年間保管する必要があります。
税務調査が入った際に提示できるよう、データとともに保管しておきましょう。
仮想通貨の確定申告では、
という3ステップが基本です。
提出義務のない書類でも、税務調査に備えて7年間保管することが重要です。
適切な書類管理と計算精度の確保が、仮想通貨投資を長期的に続けるうえでの信頼性につながります。
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