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村上裕一公認会計士事務所MURAKAMI CPA OFFICE 見積相談

2026年09月30日

仮想通貨/暗号資産

仮想通貨の利益20万円以下なら所得税の確定申告は不要?条件と住民税の注意点

この記事の執筆・監修者

公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

この記事のポイント

給与が1か所で年間の給与収入が2,000万円以下、その全部が源泉徴収の対象となる人は、仮想通貨を含む給与所得・退職所得以外の所得の合計が年間20万円以下なら、原則として所得税の確定申告は不要です。年末調整を受けていること自体は必須条件ではありません。給与が複数ある人や公的年金等の受給者には別の条件があります。医療費控除などで確定申告をする場合は20万円以下の利益も含め、所得税の確定申告をしない場合でも住民税の申告は原則必要です。

  • 給与1か所・給与収入2,000万円以下・全部が源泉徴収の対象なら、給与所得・退職所得以外の所得の合計20万円以下で原則申告不要。年末調整済みは必須条件ではない。
  • 給与が複数ある場合は、年末調整されなかった給与の収入金額も使う別の判定になる。
  • 公的年金等の収入合計400万円以下・全部が源泉徴収の対象・公的年金等に係る雑所得以外の所得20万円以下なら、所得税の確定申告は不要。
  • 医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の仮想通貨の利益も含める。
  • 所得税の確定申告をしない場合、住民税の申告は原則必要。給与・年金の制度に当たらない人は、所得全体と所得控除で判定する。
監修
村上裕一(公認会計士・税理士)
最終更新
2026-09-29
参照法令
所得税法120条・121条1項・3項、国税通則法70条、国税庁 暗号資産FAQ(令和7年12月改訂)1-3・1-7・2-11、国税庁タックスアンサー No.1900・No.1600・No.1199

「暗号資産(仮想通貨)の利益が20万円以下なら確定申告はいらない」と聞いたことがある方は多いと思います。これは、一定の条件を満たす給与所得者や年金受給者について、所得税の確定申告を不要とする制度のことです。誰にでも当てはまるわけではなく、20万円は売却代金ではなく「利益(所得)」で判定します。また、住民税には同じ制度がありません。

この記事では、20万円以下で所得税の確定申告が不要になる条件と、申告する場合・住民税の扱いを、立場ごとに整理します。

この記事の結論

  • 給与を1か所から受け、給与収入が年間2,000万円以下で、その給与の全部が源泉徴収の対象となる人は、仮想通貨を含む「給与所得・退職所得以外の所得」の合計が年間20万円以下なら、原則として所得税の確定申告は不要です(所得税法121条1項)。年末調整を受けていること自体は必須の条件ではありません。
  • 20万円は、経費などを差し引いた利益(所得)で、業務委託などの副業の所得とも合計して判定します。給与が複数ある人や公的年金等の受給者には、別の条件があります。
  • 医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の利益も含めます。所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告は原則として必要です。

仮想通貨の利益が20万円以下で所得税の確定申告が不要になるのは誰?

20万円以下の所得について申告を不要とする制度には、給与所得者向けと公的年金等の受給者向けの2つがあります。職業名ではなく、収入・所得の種類と金額で判定します。

立場所得税の確定申告が不要になる条件
給与を1か所から受けている人給与収入が2,000万円以下で、その全部が源泉徴収の対象となり、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下
給与を2か所以上から受けている人給与収入の合計が2,000万円以下で、その全部が源泉徴収の対象となり、年末調整されなかった給与の収入金額の合計と、給与所得・退職所得以外の所得の合計を合わせて20万円以下(別の条件もあり・下で説明)
給与収入が2,000万円を超える人給与所得者向けの20万円以下の制度は使えず、原則として確定申告が必要
公的年金等の受給者公的年金等の収入合計が400万円以下で、その全部が源泉徴収の対象となり、公的年金等に係る雑所得以外の所得の合計が20万円以下(所得税法121条3項)
給与所得者向け・公的年金等受給者向けの制度のどちらにも当たらない人20万円という金額では判断しない。仮想通貨を含む所得全体と所得控除などで判定する(下で説明)

給与を2か所以上から受けている人は、上の合計が20万円を超えても、給与収入の合計から一定の所得控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下なら、申告が不要となる場合があります(所得税法121条1項2号)。

年の途中で退職し、年末調整を受けていなくても、それだけで確定申告が必要になるわけではありません。ただし、納め過ぎた所得税の還付を受けるために申告することが多く、その場合は20万円以下の仮想通貨の利益も含めて申告します。

「20万円」は売却代金ではなく利益(所得)で判定する

20万円の判定に使うのは、1年間(1月1日〜12月31日)の仮想通貨の利益です。売却や他の通貨との交換、商品の購入などで出た損益を、すべての取引所・ウォレットの分を合計し、取引手数料などの必要経費を差し引いた金額で判定します。

業務委託などの副業がある場合は、その所得(収入から経費を引いた金額)とも合計します。副業が給与(アルバイトなど)の場合は、上の「給与を2か所以上から受けている人」の条件で判定してください。

業務委託の副業の所得 15万円(収入 25万円 − 経費 10万円)+ 仮想通貨の利益 10万円 = 25万円
→ 20万円を超えるため、給与所得者向けの20万円以下の制度は使えない

この場合の実際の申告義務は、所得全体と所得控除などを含めて判定します。

仮想通貨の取引が雑所得に区分される場合、その損失は同じ年の総合課税の雑所得の中で差し引けますが、給与など他の所得と相殺したり、翌年に繰り越したりすることはできません(国税庁FAQ 2-11)。事業所得に区分される場合は扱いが異なります。損益の計算方法は仮想通貨の税金の計算方法で解説しています。

医療費控除などで確定申告をするなら、20万円以下の利益も含める

20万円以下の制度は「確定申告をしなくてよい」という特例で、利益が非課税になるわけではありません。申告義務がない人でも、次のような理由で確定申告をする場合は、20万円以下の仮想通貨の利益を省略できません。

  • 医療費控除を受けるとき
  • ふるさと納税の寄附金控除を確定申告で受けるとき
  • 住宅ローン控除の1年目など、控除や還付を受けるために申告するとき

所得税の申告が不要でも、住民税の申告は原則必要

住民税には、所得税と同じ「20万円以下」を理由とする申告不要の制度はありません。所得税の確定申告をしない場合は、原則として、お住まいの市区町村に住民税の申告をします。所得税の確定申告にその所得を含めた場合は、住民税の申告を別にする必要は通常ありません。申告の方法や期限は、お住まいの市区町村の案内で確認してください。

給与・年金の制度に当たらない人は「所得控除」で判断する

給与所得者向け・公的年金等受給者向けの申告不要制度に当たらない人(給与・年金のない無職・学生・専業主婦など)は、20万円という金額だけでは判断しません。仮想通貨を含む所得全体が、基礎控除などの所得控除の合計を超えて所得税が発生するかどうかで、確定申告が必要かを判定します(所得税法120条)。個人事業主でも、給与や公的年金等がある場合は、それぞれの制度の条件も確認してください。確定申告をする場合は、20万円以下の仮想通貨の利益も含めます。

通常の年分の確定申告では、2026年分・2027年分の合計所得金額が489万円以下の人の基礎控除は104万円です(2026年分の改正は2026年12月1日施行のため、それより前に提出する死亡・出国に伴う申告は扱いが異なります)。ほかに所得がなく、仮想通貨の所得が年間104万円以下であれば、所得税の確定申告は通常不要です。なお、104万円は住民税がかからない基準や、扶養の判定基準を示す金額ではありません。住民税は所得税より低い所得からかかる場合があります。立場別の詳しい判定は、学生・大学生の場合、主婦・扶養の場合、確定申告をしなくていい人の金額と条件をご覧ください。

申告が不要でも取引の記録は残しておく

申告が不要と判断した根拠を説明できるよう、取引所の取引履歴、取得価額の資料、損益の計算結果を保存しておきましょう。保有を続けている仮想通貨の取得価額の資料は、将来売却したときの計算にも必要です。

なお、税務署が所得税を更正・決定できる期間は、原則として法定申告期限から5年、偽りなど不正な行為がある場合は7年です(国税通則法70条)。これは税務署が課税できる期間で、すべての人に同じ期間の保存義務を課す規定ではありません。帳簿や書類の法定の保存義務は、所得の種類や業務の状況などで異なります。

よくある質問

Q. 仮想通貨を売っていなければ、利益は0円ですか?

日本円に換えていなくても、別の仮想通貨との交換や、仮想通貨での支払いをした場合は損益が出ます。ステーキングなどの報酬を受け取った場合も、受け取った時点の時価が収入になります(国税庁FAQ 1-3・1-7)。保有しているだけの値上がり分(含み益)は対象になりません。

Q. 海外取引所の利益も20万円の判定に入りますか?

はい。日本の居住者(非永住者を除く)であれば、国内・海外の取引所やウォレットの区別なく、すべての損益を合計して判定します。非居住者や非永住者は、課税される所得の範囲を別途確認してください。

Q. 20万円以下なので申告しませんでした。あとで問題になりますか?

上の条件を満たしていれば、所得税の確定申告をしなくても問題ありません(住民税の申告は原則として別に必要です)。年末調整の有無だけで申告漏れとは判断できません。給与収入、源泉徴収の状況、給与以外の所得などから申告義務を確認し、申告が必要だった場合は期限後申告を行ってください。

まとめ

給与を1か所から受け、年間の給与収入が2,000万円以下で、その全部が源泉徴収の対象となる人は、仮想通貨を含む給与所得・退職所得以外の所得の合計が年間20万円以下なら、原則として所得税の確定申告は不要です。給与が複数ある人や公的年金等の受給者には別の条件があり、それ以外の人は所得全体と所得控除で判定します。20万円は利益(所得)で判定し、医療費控除などで確定申告をするときは20万円以下の利益も含めます。所得税の確定申告をしない場合、住民税の申告は原則として必要です。

取引所が複数ある、海外取引所やDeFiを使っているなどで利益の計算が難しい方は、暗号資産の損益計算のご依頼もご検討ください。

この記事は個人の所得税・住民税に関する一般的な説明です。制度の内容は2026年分(令和8年分)の法令と国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月改訂)などにもとづき、2026年9月29日に確認しました。申告する年分の手引きとご自身の状況をあわせて確認してください。

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