仮想通貨ステーキング報酬の税金はどうなる?課税タイミングと計算方法を徹底解説!
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2026年10月27日
仮想通貨/暗号資産
この記事の執筆・監修者
公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
海外の仮想通貨取引所は取扱銘柄が多く手数料も安いため、国内取引所と併用している方が多くいます。ただし申告の手間は比べものになりません。年間取引報告書が交付されないため、損益計算を自分で組み立てる必要があるからです。
海外取引所を使っている方が実際につまずくところに絞って解説します。
まず結論です。日本の居住者である限り、海外取引所での取引も国内取引所と同じく確定申告の対象になります。取引所が日本国外にあることや、日本円に換金していないことは関係ありません。分散型取引所(DEX)も同じです。
所得区分も変わらず、原則として雑所得(総合課税)です。事業として継続的・組織的に行っている場合に事業所得等となるかは個別判断になります。税率や計算の基本は仮想通貨の税金ガイドをご覧ください。
国内取引所の多くは1年分の売買を集計した「年間取引報告書」を交付します。これがあれば損益計算は大幅に楽になります。
海外取引所はこれを交付しません。 自分で生データを集めて組み立てることになります。
| 資料 | 何に使うか | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 全期間の取引履歴 | 売買の損益計算 | 現物・先物・積立・コンバートで出力場所が別の取引所が多い |
| 入出金(送金)履歴 | 取引所間の移動の突合 | これがないと、送金を売却と誤認して二重課税になる |
| 年末時点の残高 | 計算の検算 | スナップショットを取り忘れると後から取得できない |
| 手数料の資料 | 必要経費の計上 | 取引手数料が取引履歴と別建ての取引所がある |
「今年分だけ」では足りません。取得価額をさかのぼるため、その銘柄を最初に買った年からの履歴が要ります。過去分の取得に上限がある取引所もあるので早めに。
国税庁の「暗号資産の計算書」(総平均法用・移動平均法用のExcel)は、海外取引所を使っている時点で使えません。年間取引報告書の数字を転記する前提のためです。
損益計算では、履歴から計算した保有数量と年末時点の実際の残高を突き合わせます。この2つが一致して初めて、計算が正しいことを担保できます。ずれる原因で多いのは次のものです。
数量が合わないまま計算を進めると、譲渡原価が狂って損益が丸ごとずれます。実際の計算手順は仮想通貨の税金の計算方法、DEXやDeFiの課税判定はDeFiの確定申告のやり方で解説しています。
令和8年度税制改正で、一定の特定暗号資産について20.315%(所得税・復興特別所得税等15.315%+住民税5%)の申告分離課税とする制度が創設されました。2028年1月1日以降の取引から対象になる見込みです。
ここで海外取引所を使っている方に関係するのが対象範囲です。
分離課税になるのは、「特定暗号資産」を国内の登録業者(暗号資産取引業者)で売った取引です。決め手はどこで売るかで、どこで買ったかは問いません。海外取引所で買ったコインも、国内の登録業者に送って売れば分離課税の対象です。一方、海外取引所やDEXで売ったり、ほかのコインに交換したりした分は対象外で、総合課税(最大約55%)になります。
「暗号資産が一律20%になる」という報道の受け止め方には注意が必要です。海外取引所で売買を完結させている分には、分離課税の恩恵はありません。分離課税にしたい分は、国内の登録業者に送ってから売る必要があります。その場合も、海外取引所で買ったときの取得価額は自分で証明するので、購入時の取引履歴は必ず残しておきましょう(詳しくは暗号資産(仮想通貨)の分離課税特集)。開始後に海外取引所で売った分は、営利目的の継続的な売買にあたらなければ総合課税の「譲渡所得」、あたれば雑所得になります。
なお2026年分・2027年分の取引は現行どおり総合課税の雑所得です(2027年分は見込み。正式な開始日は施行日を定める政令で確定します)。
FTXのように、海外取引所が突然破綻してログインすらできなくなることがあります。
税務上、出金できなくなった時点でただちに損失が確定するわけではありません。計上できるのは法的整理の結果として回収不能が確定した場合などで、時期も金額も個別判断です。一部が返還されることもあり、確定までに何年もかかります。
実務上いちばん重要なのは、使っているうちに履歴を落としておくことです。破綻後はサイトが閉鎖され、取引履歴も残高証明も取得できなくなります。
国内取引所の法定調書提出制度、銀行口座との資金移動履歴の照合、税務調査での履歴確認、今後の国際的な暗号資産情報交換制度(CARF)の整備などを通じて、税務当局は暗号資産取引を把握する体制を強化しています。「海外取引所だから把握されない」とは言い切れません。
無申告のまま指摘を受けると、本来の税額に加えて加算税・延滞税が課されます。詳しくは仮想通貨の確定申告のやり方で解説しています。
Q. 海外取引所の利益も、20万円以下なら申告しなくてよいですか?
A. 給与所得者で、給与以外の所得が20万円以下であれば所得税の確定申告は不要です。国内・海外を問わずすべての所得を合計して判定します。ただし20万円以下でも住民税の申告は別途必要です。
Q. 日本円に換金していなければ申告は不要ですか?
A. 必要です。ビットコインでアルトコインを買った時点、ステーブルコインに交換した時点でも損益が確定します。海外取引所では円に換金せずコイン同士の売買を繰り返す方が多く、気づかないうちに利益が積み上がっているケースがよくあります。
Q. すでに閉鎖された取引所の履歴が取れません。どうすればよいですか?
A. 手元に残っているもの(送金先ウォレットのオンチェーン履歴、メールの取引通知、入出金元の銀行明細など)から再構成します。完全な復元が難しくても、合理的な方法で見積もった根拠を残しておくことが重要です。何も残さず申告すると、税務調査で説明できません。
海外取引所を使っている方の申告は、次の3点に集約されます。
履歴は使えるうちに落としておいてください。取引所が閉鎖されてからでは手の打ちようがありません。
村上 裕一(むらかみ ゆういち)|公認会計士・税理士
村上裕一公認会計士事務所 所長。暗号資産(仮想通貨)の税務を専門とし、個人の確定申告から法人化・税務調査対応まで、暗号資産に特化した税務サポートを提供している。EY新日本有限責任監査法人出身。YouTube・Xで暗号資産の税金情報を発信中。
本記事は2026年8月時点の一般的な税務上の取扱い、所得税法の規定および国税庁の公表資料に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。令和8年度税制改正による申告分離課税は2028年1月1日以降の取引から対象になる見込みです。特定暗号資産の範囲を定める財務省令、施行日を定める政令、国税庁の解説の公表により、取扱いが補足・変更される場合があります。取引所破綻に伴う損失の計上時期は個別の事実関係により異なります。