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村上裕一公認会計士事務所MURAKAMI CPA OFFICE 見積相談

2026年09月11日

仮想通貨/暗号資産

仮想通貨ステーキング報酬の税金はどうなる?課税タイミングと計算方法を徹底解説!

この記事の執筆・監修者

公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

この記事のポイント

仮想通貨のステーキング報酬は、受け取った時点の時価で雑所得として課税されます。日本円に換金していなくても対象で、所得税(5〜45%)と住民税(10%)を合わせた総合課税です(復興特別所得税を除く)。受け取った時価は同時にその暗号資産の取得価額になり、あとで売ったときは購入分も含めた平均単価(総平均法・移動平均法)で譲渡原価を計算します。必要経費にできるのは受取手数料など直接必要な支出で、通信費やパソコンは明確に区分できる部分だけです。会社員で給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる場合がありますが、住民税の申告は別に必要になることがあります。

  • ステーキング報酬は受け取った時点の時価で雑所得になり、総合課税(所得税5〜45%+住民税10%)の対象になる。
  • 受け取った時価は取得価額にもなり、あとで売ったときは購入分も含めた平均単価(総平均法・移動平均法)で譲渡原価を計算する。
  • 必要経費は受取手数料など直接必要な支出。通信費やパソコンは暗号資産取引に使った部分を明確に区分できる場合だけ。
  • 会社員で給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる場合があるが、住民税の申告は別に必要になることがある。
  • Binanceなどの海外取引所やDEXでのステーキングも、日本の居住者である限り課税対象。受取日時・数量・時価の記録を残す。
監修
村上裕一(公認会計士・税理士)
最終更新
2026-09-11
参照法令
国税庁 暗号資産FAQ(令和7年12月改訂)1-5・1-7・2-2・2-3・2-4・2-5・2-11、所得税法120条・121条、所得税法施行令138条、地方税法317条の2・317条の3、国税庁タックスアンサー No.1900・No.2260

「ステーキングの報酬をもらったけれど、税金はどうなるの?」

この記事は、日本にお住まいの個人の方で、仮想通貨のステーキング報酬を受け取っている方向けです。根拠確認日は2026年9月10日で、国税庁の暗号資産FAQ(令和7年12月改訂)と令和8年4月1日現在の法令にもとづいています。

結論から書くと、確認するタイミングは3つです。

  • 受け取ったとき:受け取った時点の時価が、その年の収入になります。日本円に換えていなくても同じです。
  • 売ったとき:売った分の取得価額(譲渡原価)との差が利益になります。受け取った分だけを切り出すのではなく、同じ銘柄をまとめて平均した単価で計算します。
  • 申告するとき:原則として雑所得として、給与などと合算して申告します。会社員で給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる場合がありますが、その場合でも住民税の申告は別に必要になることがあります。

順番に見ていきましょう。

ステーキングとは?仕組みを簡単に解説

ステーキングとは、保有する仮想通貨をネットワークに預けて(ステークして)ブロック生成などに貢献し、その見返りとして報酬を受け取る仕組みです。「仮想通貨の定期預金」に近いイメージですが、報酬は日本円ではなく仮想通貨で支払われます。イーサリアム(ETH)、カルダノ(ADA)、ポルカドット(DOT)、コスモス(ATOM)、テゾス(XTZ)などで利用でき、国内取引所のステーキングサービスを使う方法と、ウォレットから直接ステークする方法があります。

ステーキング報酬はいつ課税される?(受け取った時点)

ステーキング報酬は、受け取った時点の時価が収入になります。「まだ日本円に換金していないから税金はかからない」と思われがちですが、そうではありません。国税庁のFAQでも、マイニング・ステーキング・レンディングなどで取得した暗号資産は、取得時点の価額(時価)を総収入金額に算入すると示されています(FAQ 1-7)。

所得の区分は、原則として雑所得(その他雑所得)です。給与など他の所得と合算する総合課税で、所得税の税率は5〜45%、住民税は原則10%です。あわせてよく「15〜55%」と言われるのはこのためです(※復興特別所得税を除く)。

なお、その年の暗号資産取引の収入金額が300万円を超える場合は、帳簿書類を保存していれば原則として事業所得、保存していなければ業務に係る雑所得に区分されます(FAQ 2-2)。帳簿があっても営利性が認められない場合などは個別判断です。ステーキング報酬だけで300万円を超える方は多くありませんが、売買と合わせた収入金額で判定する点に注意してください。

ステーキング報酬の計算方法(具体例つき)

計算は「受け取ったとき」と「あとで売ったとき」の2段階に分かれます。ここを混ぜると計算を間違えやすいので、分けて見ていきましょう。

受け取ったとき:時価が収入になり、同じ金額が取得価額になる

受け取った数量に受取時の時価を掛けた金額が収入です。そして同じ金額が、その仮想通貨の取得価額に加わります(FAQ 1-5⑤)。つまり、受け取った時点でいったん課税され、その金額で「買った」のと同じ扱いになります。

あとで売ったとき:受取分だけを切り出さず、平均した単価で計算する

売却したときの利益は、売却額と譲渡原価(売った分の取得価額)の差です。譲渡原価は、同じ銘柄について前年から持ち越した分とその年に取得した分をまとめて、総平均法または移動平均法で平均した単価で計算します(FAQ 2-4)。「報酬でもらった1ETHを売った」と考えて受取時の時価だけを原価にするのではなく、購入分も含めた平均単価を使います。評価方法の届出をしていない場合は総平均法です(FAQ 2-5)。

例えば、こんな1年だった場合

前提を先に決めます。1月に9.6ETHを1ETH=30万円で購入(288万円)。6月にステーキング報酬として0.4ETHを受け取り、受取時の時価は1ETH=50万円。9月に2ETHを1ETH=60万円で売却(120万円)。手数料はゼロ、前年からの繰越なし、ほかの取引なし、評価方法は総平均法とします。

受け取ったときの収入:0.4ETH × 50万円 = 20万円。この20万円が取得価額にも加わります。

平均単価:その年に取得したのは 9.6ETH+0.4ETH = 10ETH、取得価額の合計は 288万円+20万円 = 308万円。1ETHあたり 308万円 ÷ 10ETH = 30.8万円です。

売ったときの利益:120万円 −(2ETH × 30.8万円 = 61.6万円)= 58.4万円。

その年の雑所得:20万円(報酬)+ 58.4万円(売却益)= 78.4万円(必要経費がない場合)。年末に残る8ETHの取得価額は 8ETH × 30.8万円 = 246.4万円で、翌年の計算に引き継ぎます。

この例では移動平均法でも同じ結果になりますが、売却と取得の順番によっては金額が変わります。また、報酬をもらった後に時価が下がっても、受け取った時点の20万円という収入は変わりません。下がった状態で売れば売却損になり、同じ年の雑所得の中では相殺できますが、給与など他の所得からは差し引けません(FAQ 2-11)。

ステーキング報酬の必要経費とは?

雑所得の金額は、収入から必要経費を差し引いて計算します。必要経費にできるのは、その収入を得るために直接必要な支出です(FAQ 2-3)。例えば次のようなものが考えられます。

  • 報酬の受取りや送金にかかった手数料
  • ステーキングに使ったウォレットや端末で、暗号資産取引に使った部分を明確に区分できる費用

損益計算ツールの利用料を経費にできるかは、判断が分かれるところです。計算や申告のために直接かかった費用として扱う考え方がありますが、国税庁FAQに例示はありません。

パソコンやスマートフォン、通信費、電気代は「買ったから全額経費」にはなりません。回線利用料のように私用と一緒に払っているものは、暗号資産取引に使った分を明確に区分できる場合に、その部分だけを経費にできます。電気代も同じで、暗号資産に利用したと分かる部分のみ計上できます。パソコンなど10万円以上で1年以上使うものは、その年に全額ではなく減価償却で数年に分けて経費にします(10万円未満なら買った年に全額)。区分の根拠を説明できないものは、経費に入れないほうが安全です。

20万円以下なら申告不要?住民税はどうなる?

検索でよく見かける「20万円以下なら申告不要」は、条件付きの話です。次の3点を分けて考えましょう。

所得税:会社員で「給与以外の所得」が20万円以下なら確定申告が不要になる場合がある

給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる方は、その年の給与収入が2,000万円以下で、給与・退職所得以外の所得の合計額が20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてよいとされています(所得税法121条1項、国税庁タックスアンサーNo.1900)。

ここでいう「所得」は収入から必要経費を引いた金額で、ステーキング報酬は経費が少ないため、受け取った時価の合計がほぼそのまま所得になります。また、副業やほかの仮想通貨の売却益、FXなど、給与以外の所得をすべて合計して20万円以下かどうかを見ます。

一方、医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)、住宅ローン控除の初年度などで確定申告をする方は、20万円以下でもステーキング報酬を含めて申告する必要があります。確定申告書には、その年の総所得金額を記載することになっているためです(所得税法120条1項)。

住民税:所得税の確定申告をしない場合は、住民税の申告が必要になることがある

住民税(市区町村民税・都道府県民税)は、所得税の確定申告をすればその内容が市区町村に回るので、別に申告する必要はありません(地方税法317条の3)。

しかし、20万円以下で所得税の確定申告をしない場合は話が別です。地方税法では、給与所得以外の所得があった方は、3月15日までに住所地の市区町村へ申告書を出すことになっています(地方税法317条の2第1項)。住民税には20万円の基準がないため、ステーキング報酬があるのに何も申告していない状態にならないよう、お住まいの市区町村の案内で申告方法を確認してください。

迷ったら:申告してしまうほうが後で困らない

20万円前後で迷う場合や、ほかにも副収入がある場合は、所得税の確定申告をしてしまうのが分かりやすいです。所得税と住民税の両方が一度で済み、住民税の申告を別にする必要もなくなります。

海外取引所やDEXのステーキングも対象

BinanceやBybitなどの海外取引所、DEX(分散型取引所)やウォレットから直接行うステーキングでも、日本の居住者である限り課税の対象です。「海外だから申告しなくていい」ということはありません。海外取引所やウォレットの報酬は年間取引報告書がないので、受取日時・数量・受取時の時価が分かる履歴を自分で残しておく必要があります。

記録しておくもの

申告のときと、あとで売ったときの両方で使うので、報酬を受け取った日時と数量、受け取った時点の時価、年末時点の保有数量と1単位あたりの取得価額の3つは残しておきましょう。海外取引所・ウォレットの分は自分で揃える必要があります。準備する資料は、取引所・DeFi・NFT別にご依頼に必要な資料にまとめています。

自分で申告する方・計算を依頼したい方へ

国内取引所のステーキングだけで、売買も少ない方は、この記事の計算方法で申告できます。損益計算ツールを使っている方は、ツールの設定で報酬が「受取時の時価で取得」として取り込まれているかを確認するのが良いです。

海外取引所やDEX、複数のウォレットが混ざっていて履歴が揃わない方、売買が多くて平均単価の計算が追いつかない方は、暗号資産の損益計算サービスをご覧ください。損益計算だけのご依頼も、確定申告書の作成・e-Tax提出までのセットも承っています。計算結果とレポートをお渡しするので、申告はご自身または顧問税理士が行う形でも構いません。

ご依頼を決めていない方向けに、LINEで申告前のチェックリストと確定申告準備ガイドをお渡ししています。

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よくある質問

Q. 報酬を受け取っただけで、日本円に換えていなくても課税されますか?

はい。受け取った時点の時価が収入になります(FAQ 1-7)。換金していなくても、その年の雑所得に含めます。

Q. 報酬をもらった後に値下がりして損をしました。税金は戻りますか?

受け取った時点の収入は変わりません。値下がりした状態で売却すれば売却損になり、同じ年の雑所得の中では相殺できますが、給与など他の所得からは差し引けず、翌年への繰越もできません(FAQ 2-11)。

Q. ステーキング報酬だけで年間10万円です。申告は必要ですか?

会社員で年末調整が済んでいて、給与以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要になる場合があります。ただし、住民税の申告は別に必要になることがあるので、お住まいの市区町村の案内で確認してください。医療費控除などで確定申告をする場合は、10万円も含めて申告します。

まとめ

ステーキング報酬は、受け取った時点の時価が収入になり、同じ金額が取得価額になります。あとで売ったときは、購入分も含めた平均単価で譲渡原価を計算します。申告は原則として雑所得の総合課税で、会社員で給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる場合がありますが、住民税の申告は別に確認が必要です。

まずは、受取日時・数量・時価の記録を残すところから始めましょう。ステーキング以外のDeFi取引(DEXでのスワップ・流動性提供・レンディングなど)も含めた課税判定と申告の手順は、DeFiの確定申告のやり方にまとめています。

この記事は個人の所得税・住民税に関する一般的な説明です。制度の内容は令和8年4月1日現在の法令等と国税庁FAQ(令和7年12月改訂)にもとづき、2026年9月10日に確認しました。申告する年分の手引きとご自身の状況をあわせて確認してください。

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