仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2025年09月19日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2025年8月、金融庁が仮想通貨(暗号資産)の税制改正を要望したというニュースが報じられました。
主な内容は以下の2点です。
もし実現すれば、日本の投資環境に大きな影響を与える可能性があります。本記事では、改正の背景・実現時期の予想・投資家への影響(メリット・デメリット)をわかりやすく解説します。
目次
現在、日本では仮想通貨は資金決済法上の「決済手段」として扱われています。
しかし、金融庁は今後、金融商品取引法上の「金融商品」に位置づける方針を強めています。
金融商品となれば、株式や証券と同様に金融庁の監督下に置かれることになり、税制や規制の枠組みも大きく変わることになります。
金融庁の制度改正の動きについては、下記の記事をご参照ください。
記事「【2025年6月】金融庁が仮想通貨(暗号資産)の制度改革に着手!分離課税とETF導入は実現するのか?」
金融庁の要望によると、2026年の通常国会で法改正を目指しているとのことです。
ただし、税制は「1月1日~12月31日」が計算対象期間となるため、2026年中に成立した場合でも適用は2027年1月以降になる可能性が高いと見られます。
つまり、最短でも2027年から分離課税がスタートするシナリオになるのではないかと私は予想します。
これについては、現状は未定になっていますので、引き続き状況を注視していきたいと思います。
注意したいのは、分離課税の対象範囲です。
参考「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」(金融庁)
つまり、分離課税が導入されてもその範囲が限定的になる可能性が高いです。最悪、国内登録取引所のみが対象になる可能性もあります。
投資家にとっては、大幅な減税効果となります。
一方で、投資家にとって注意すべき点もあります。
仮想通貨が金融商品扱いになれば、出国税の対象になる可能性が高いです。
これは、海外移住の際に、仮想通貨の含み益を一度利確したものとみなして、その含み益の税金を支払ったうえで出国しなければならない、というものです。
仮想通貨長者や富裕層にとって大きな制約となるでしょう。
詳細は下記の記事をご参照ください。
記事「【2025年最新】仮想通貨にも出国税が!? 海外移住を検討するなら今がラストチャンス!」
仮想通貨を金融商品として分類することにより、金融庁による監督が強まり、国内取引所の運営負担が増加する可能性があります。
さらに、海外の仮想通貨取引所の利用もますます制限される可能性があります。
政府は、金融所得課税の強化を掲げているという記事を見かけます。
現在20%の金融所得課税が、将来的に30%へ引き上げられる議論もあります。
「55% → 20%」ではなく「55% → 30%」になるシナリオも現実的です。
仮想通貨取引の損益計算は非常に複雑で、現状と大きく変わらない見込みです。
以上が、金融庁が仮想通貨(暗号資産)の税制改正を要望したという内容及びそれによる想定される影響となります。
下記がまとめです。
今後の法改正の動きは、仮想通貨投資家にとって大きな転換点になります。
特に海外移住を検討している方は、早めの対応が必須です。
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