仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2024年05月27日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
近年、仮想通貨投資で大きな利益を上げる方が増えています。しかし、利益が大きければ大きいほど、税金の負担も重くなってしまいます。そこで注目されているのが、海外移住による節策です。税務上の非居住者になれば、日本の税金が一部かからなくなる可能性があるのです。本記事では、税務上の非居住者について詳しく解説していきます。
税務上の非居住者になると、日本で税金がかからなくなる、あるいは一部かからなくなる可能性があります。例えば、役員の方が海外に住めば、今まで日本で55%かかっていた所得税と住民税が、約20%の源泉税で済むようになります。つまり、1億円稼いだ場合、日本居住者だと4,500万円しか手元に残らないのに対し、非居住者だと8,000万円が手元に残るようになるのです。
さらに、仮想通貨投資の場合は、源泉税がかからない所得として分類されていることから、日本の非居住者になれば日本での納税はゼロとなります。居住地での仮想通貨の納税のみで済むため、ドバイなどの仮想通貨にフレンドリーな国に移住し、仮想通貨の税金ゼロで進めたいという投資家も多いでしょう。
また、非居住者になれば、海外のペーパーカンパニーに対する合算課税を行うタックスヘイブン対策税制にも引っかからなくなります。このような税務上のメリットから、非居住者になる方法は富裕層の方々の大きな関心事となっているのです。
では、どうすれば税務上の非居住者になれるのでしょうか?よくある誤解は、単に海外に183日以上滞在すればいいと考えることです。確かに、シンガポールやタイなど、多くの国では183日ルールを採用しています。しかし、日本は単純な日数基準ではなく、「生活の本拠地」という概念で判断します。
生活の本拠地とは、簡単に言えば、あなたの生活の中心がどこにあるかということです。これは裁判でもよく争点になる概念で、一概に定義するのは難しいのですが、過去の判例から、主に以下の5つの要素が考慮されることが多いです。
(非居住者の判断基準)
税務署では、これらの要素を総合的に判断して、あなたが居住者か非居住者かを決定します。つまり、単に海外に長く滞在するだけでは不十分で、生活の本拠を海外に移したことを証明する必要があるのです。
その意味で特に重要なのが、居住ビザの存在です。居住ビザがなければ、その国に住む権利がないとみなされ、非居住者と認められにくくなります。
また、税務署から求められるのは、住居の賃貸借契約書、水道光熱費の領収書、引っ越しの領収書などです。これは、税務署は「客観的事実によって判定する」と明記していることから、投資家の主張ではなく、その主張を裏付けるような客観的資料が大事ということとなります。実際に海外に移住していることを示すような客観的な証拠を集めておくのが大事でしょう。
家族の居場所については、必ずしも家族全員が海外にいる必要はありません。単身赴任のように、一定の条件を満たせば、家族が日本にいても非居住者と認められる可能性があります。過去には、シンガポールで働きながら週末に日本の家族のもとに帰るというケースで、非居住者と認められた裁判例もあります。
一方で注意が必要なのは、職業要件です。税法上、日本国内で継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有している場合は、日本の居住者と推定されると定められています。これは推定規定なので覆すことはできますが、やはり職業の選択には気をつける必要があります。海外で1年以上働くことが必須の職業であれば、非居住者と認められやすくなるでしょう。
また、現地での生活スタイルも重要です。年間のほとんどを海外で過ごしていたものの、海外ではホテル暮らしだったために、生活の本拠が現地にないとして日本での納税を命じられた事例も過去には存在しています。そのため、現地では賃貸マンションを契約する、不動産を購入するなどの行為も必要になってきます。
本記事では、仮想通貨投資家の方々が関心を持つ、税務上の非居住者について解説しました。非居住者になれば、日本の税金が一部かからなくなる可能性があり、大きな節税効果が期待できます。ただし、非居住者の判定は、様々な要素を総合的に判断する必要があり、一概に言えないのが実情です。
非居住者になろうとお考えの方は、ご自身の状況を整理した上で、経験豊富な税理士にご相談されることをおすすめします。国際税務に精通した専門家のアドバイスを受けることで、スムーズに非居住者の認定を受けられるでしょう。
仮想通貨投資で得た利益を、賢く守るためにも、非居住者の可能性について検討してみてはいかがでしょうか。
免責事項
当記事のコンテンツ・情報について、正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。 当サイトに掲載された内容によって生じた損害等は、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。