2024年05月27日

仮想通貨/暗号資産

仮想通貨ステーキング報酬で税金が払えない!?- 危険なケースを税理士が解説

この記事の監修者

村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

今回は、仮想通貨投資で人気の「ステーキング」に関する税金の仕組みと、注意すべきポイントについて解説します。ステーキングは、仮想通貨を保有しているにもかかわらず、報酬として仮想通貨が得られる行為であるために、仮想通貨の運用方法として人気です。

ですが、やり方を間違えると、多大な税金が発生しているにもかかわらず、現金化できておらず、税金が払えないというケースも存在します。

今回は、ステーキングの税金の留意点を説明していきます。

ステーキング等の税金の基本

まず、ステーキングの税金を理解する前に、関連する用語の意味を確認しておきましょう。

・マイニング:仮想通貨を新規に採掘して報酬を得ること

・ステーキング:仮想通貨を一定期間ロックして報酬を得ること

・レンディング:仮想通貨を貸し出して利息に相当する報酬を得ること

・ファーミング:2種類程度の仮想通貨をロックして流動性を提供し、報酬を得ること

これらの手法で仮想通貨を取得した場合、税金の発生タイミングは「報酬となる仮想通貨を取得した時点」となります。

国税庁のFAQでも、以下のように明記されています。

マイニング、ステーキング、レンディングなどにより暗号資産を取得した場合、その取得に伴い生ずる利益は所得税又は法人税の課税対象となります。
いわゆる「マイニング」、「ステーキング」、「レンディング」など(以下「マイニング等」といいます。)により暗号資産を取得した場合、その取得した暗号資産の取得時点の価額(時価)については所得の金額の計算上総収入金額(法人税においては益金の額)に算入され、マイニング等に要した費用については所得の金額の計算上必要経費(法人税においては損金の額)に算入されることになります。

(引用:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」Q1-6)

つまり、ステーキング報酬により新たな仮想通貨を取得した時点で、税務上の利益として計上し、税金を支払う義務が生じるのです。

ステーキング報酬を現金化する前に税金が発生するという点が留意するべき事項となります。

悲惨なケース:税金だけ発生して現金化できない

ステーキング報酬に税金がかかること自体は仕方のないことですが、問題はその後の仮想通貨価格の変動です。

具体的なケースを見てみましょう。

【ステーキングの悲惨な事例】

・2022年1月:10万円で5ETHを購入し、全てステーキング

・2022年3月:2ETHをステーキング報酬として獲得(1ETH=25万円)

・2022年6月:2ETHをステーキング報酬として獲得(1ETH=30万円)

・2022年9月:2ETHをステーキング報酬として獲得(1ETH=40万円) 

・2022年10月以降:ETH価格が暴落

・2023年2月:保有する11ETH全てを5万円で売却

このケースでは、ステーキング報酬によりETHを取得した際の時価総額は以下のようになります。

・2022年3月:2ETH×25万円=50万円

・2022年6月:2ETH×30万円=60万円

・2022年9月:2ETH×40万円=80万円

2022年中に合計で190万円の利益が発生したことになるため、税率を30%とすると約60万円の税金を支払う必要があります。

しかし、2023年2月に全てのETHを売却して得られた金額はわずか5万円です。

60万円の税金を支払わなければならないのに、手元に現金化できたお金は5万円しかないのです。

投資としてはマイナスなのに、税金だけが発生して支払えないなんて、悲惨な事態ですよね。

対策:年内に損切りして利益と損失を相殺する

このような事態を避けるためには、年内に保有する仮想通貨を損切りして、利益と損失を相殺することが重要です。

仮想通貨の税金は、同一年度内であれば利益と損失の相殺が可能です。

ステーキングで利益が出ても、年末までに仮想通貨価格が下がっているなら、その含み損を実現させることで節税効果が期待できます。

含み損を実現させるには、その仮想通貨を売却するか、他の仮想通貨に乗り換える必要があります。

年末までに損切りすることを習慣づけておくと、予期せぬ税金トラブルを避けられるでしょう。

まとめ

ステーキング報酬への税金は、以下のポイントを抑えておきましょう。

  1. ステーキング報酬は取得時点で時価相当額が課税される
  2. 同一年度内なら損益通算が可能なので、年末の損切りを検討する 

ステーキングで儲かっても、税金の存在を忘れると痛い目に遭います。

節税対策を練りつつ、適正に税務申告・納税することを心がけましょう。

仮想通貨税務に関するご相談は、ぜひ私にお任せください。

個人の方もお気軽にお問い合わせください。

以上、ステーキング報酬の税金問題について解説しました。

ぜひ参考にしていただければ幸いです。

 

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