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村上裕一公認会計士事務所MURAKAMI CPA OFFICE 見積相談

2026年09月29日

仮想通貨/暗号資産

メタマスクの税金計算のやり方|スワップ・ガス代・申告が必要な人

この記事の執筆・監修者

公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

この記事のポイント

メタマスクを使ったこと自体で税金はかかりませんが、売却・スワップ・支払い・報酬の受け取りは損益計算の対象です。DEXでのスワップは日本円に換えていなくても、手放した暗号資産を売ったものとして計算します。所得は原則として雑所得の総合課税(所得税5〜45%+住民税所得割10%、別に復興特別所得税)で、給与所得者などは給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告が不要な場合があります(住民税の申告は原則必要)。

  • 保有や自分のウォレット間の移動だけでは売却益は生じない。売却・スワップ・支払い・報酬受取が計算の対象。
  • スワップは交換時の時価で、手放した暗号資産の損益を計算し、受け取ったトークンの取得価額も記録する。
  • 取得価額は銘柄ごとに総平均法か移動平均法(届出なしは総平均法)。取引所とウォレットをまたいで合算する。
  • ガス代は支出目的に応じて取得価額への算入や必要経費になるかを判断する。私的な支出は経費にせず、ETHで支払った場合はそのETHの損益も確認する。
  • 給与所得者などは給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告が不要な場合があるが、住民税の申告は原則必要。
監修
村上裕一(公認会計士・税理士)
最終更新
2026-09-29
参照法令
国税庁 暗号資産FAQ(令和7年12月改訂)1-2・1-3・1-5・2-2・2-3・2-4・2-5・2-6・2-11、所得税法89条・121条、国税庁タックスアンサー No.1522・No.1900・No.2260

メタマスク(MetaMask)などの個人ウォレットで暗号資産(仮想通貨)を取引している方から、「ウォレットの取引も税金の計算が必要なのか」というご質問をよくいただきます。

結論から言うと、メタマスクでの取引も、取引所での取引と同じように損益計算の対象です。この記事では、メタマスクで税金がかかる取引、DEXでのスワップやガス代の扱い、計算の手順と申告が必要な人を整理します。

この記事の結論

  • メタマスクを使ったこと自体で税金がかかるわけではありません。売却・別の暗号資産との交換(スワップ)・支払い・報酬の受け取りが所得計算の対象です。
  • DEXでのスワップは、日本円に換えていなくても、手放した暗号資産を売ったものとして損益を計算します。
  • 所得は原則として雑所得の総合課税(所得税5〜45%+住民税所得割10%。別に復興特別所得税)です。会社員などで給与以外の所得が年20万円以下なら、所得税の確定申告が不要な場合があります。

メタマスクの取引にも税金はかかる?

メタマスクは、イーサリアム系の暗号資産やトークンを管理するウォレットです。DEX(分散型取引所)でのトークン交換やNFTの売買に使われます。

メタマスクを使ったこと自体で税金がかかるわけではありません。課税の対象になる取引と、ならない取引は次のとおりです。

取引 所得計算の対象か
購入して保有するだけ 対象外(売却益は生じない)
自分名義の取引所口座と自分のウォレットの間で、同じ暗号資産を移すだけ 対象外(売却益は生じない)
売却して日本円などに換える 対象
別の暗号資産・トークンと交換する(スワップ) 対象
暗号資産で商品・サービス・NFTを買う 対象
ステーキングなどの報酬を受け取る 対象(受け取った時点の時価が収入)

仮想通貨の税金の基本(雑所得・総合課税)

個人の暗号資産取引による所得は、原則として雑所得として、給与などほかの所得と合計して税率が決まる総合課税の対象です(事業所得などに区分される場合もあります)。税率は所得税が5〜45%で、別に復興特別所得税がかかります。住民税所得割の標準税率は10%です。

雑所得に区分される場合、年間で損失が出ても、給与など他の所得から差し引くことはできず、翌年に繰り越すこともできません(国税庁FAQ 2-2・2-11)。

メタマスクの税金計算のやり方

1. 取引履歴を集める

メタマスクには、取引所のような年間取引報告書がありません。ウォレットアドレスの取引履歴(ブロックチェーン上の記録)から、日時・取引の種類・数量・相手のトークン・ガス代を集めます。同じ銘柄を取引所でも持っている場合は、取引所の履歴もあわせて集めます。

2. 取得価額と売却の損益を計算する

購入時の手数料は取得価額に含めます。売却による所得は、売却代金から、売却した数量に対応する取得価額(譲渡原価)と売却手数料などを差し引いて計算します。年間取引報告書や計算ツールがすでに手数料を差し引いている場合は、重ねて差し引かないでください。

個人の暗号資産の取得価額は、銘柄ごとに総平均法か移動平均法で計算します。評価方法の届出をしていない場合は総平均法です。同じ銘柄は、取引所やウォレットをまたいで合計します。評価方法の変更には所定の申請と承認が必要で、毎年自由に変えられるわけではありません(国税庁FAQ 2-4〜2-6)。

3. トークン同士の交換(スワップ)も計算する

DEXでETHを別のトークンに交換した場合、日本円に換えていなくても、原則としてETHを譲渡したものとして損益を計算します。受け取ったトークンの交換時の円換算額から、手放したETHの取得価額(譲渡原価)や必要経費を差し引きます。受け取ったトークンは、交換時の時価をもとに取得価額として記録しておきます(国税庁FAQ 1-3・1-5)。

4. ガス代を整理する

ガス代は、支払った目的に応じて整理します。暗号資産の取得に直接かかったものは取得価額に含め、売却などに直接かかったものは必要経費として扱うのが一般的な考え方です。私的な支出まで経費にすることはできません。

また、ETHでガス代を支払った場合は、手数料の扱いとは別に、支払ったETH自体の損益も計算の対象になります。同じ費用を取得価額と必要経費の両方に入れないよう注意してください。

国税庁のFAQにガス代を直接扱った回答はありません。上記は、取得価額・必要経費の一般的な考え方(国税庁FAQ 1-2・1-5・2-3)にもとづく整理です。

5. 1年間の所得を合計する

1月1日から12月31日までの売却・交換・支払い・報酬の損益を合計して、その年の所得を計算します。申告するのは取引ごとではなく、1年間の所得の合計です。

税金はいくら?具体的な計算例

メタマスクで1ETHを10万円で購入し、1か月後に15万円で売却した場合、利益は5万円です(手数料は省略)。

利益:150,000円 − 100,000円 = 50,000円

この利益を所得税の確定申告に含める人で、利益を加える前の課税所得が500万円、ほかの損益や控除が変わらず、5万円がすべて所得税率20%の区分に収まると仮定した場合の税負担の増加額は、次のとおりです。

所得税:50,000円 × 20% = 10,000円
住民税(所得割):50,000円 × 10% = 約5,000円
合計:約15,000円

※復興特別所得税は含みません。所得税率は課税所得の金額によって5〜45%の7段階です(国税庁 No.2260)。下の「20万円以下」の条件に当てはまる人は、所得税の扱いが異なります。

メタマスクの損益計算に使えるツール

取引が多いと、手作業での計算は現実的ではありません。次のような損益計算ツールは、取引所だけでなく、ウォレットアドレスを登録してメタマスクの取引を取り込めるものがあります。

  • クリプタクト
  • Gtax
  • クリプトリンク

対応しているチェーンやDEXはツールによって異なるため、取り込めなかった取引は手作業で補う必要があります。国税庁の考え方は「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」(令和7年12月)で確認できます。

よくある質問

Q. メタマスクでの取引も申告が必要ですか?

メタマスクなどの個人ウォレットでの取引も、取引所での取引と同じように損益計算の対象です。1年間の売却・交換などを集計して所得を計算し、申告が必要かどうかは、年間の所得と本人の状況で判断します。

給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象で、給与収入が2,000万円以下の人などは、暗号資産の所得を含む「給与所得・退職所得以外の所得」の合計が年20万円以下なら、原則として所得税の確定申告は不要です(所得税法121条)。20万円は売却代金ではなく、必要経費などを差し引いた所得で判定します。医療費控除などのために確定申告をする場合は、この20万円以下の所得も含めて申告します。

住民税には、この「20万円以下」を理由とする申告不要の制度はありません。所得税の確定申告をしない場合は、原則として市区町村への住民税の申告が必要です。お住まいの市区町村の案内もあわせて確認してください。

Q. 取引所から自分のメタマスクに送金しただけでも課税されますか?

自分名義の口座とウォレットの間で同じ暗号資産を移すだけなら、売却益は生じません。ただし、送金手数料を暗号資産で支払った場合は、その分の損益を確認します。

Q. スワップで損失が出ました。給与と相殺できますか?

暗号資産取引の所得が総合課税の雑所得に区分される場合、その損失は、同じ年の総合課税の雑所得の計算の中で差し引けます。ただし、国内FXなど申告分離課税の所得や給与所得とは相殺できず、翌年への繰越もできません(国税庁FAQ 2-11、タックスアンサー No.1522)。

まとめ

メタマスクでの取引も、売却・スワップ・支払い・報酬の受け取りは損益計算の対象です。スワップは日本円に換えていなくても計算が必要で、ガス代や取得価額(総平均法・移動平均法)の整理も欠かせません。取引所とウォレットをまたいで同じ銘柄を合計することも忘れないでください。

DEXやウォレットの取引が多く、計算が追いつかない方は、暗号資産の損益計算のご依頼もご検討ください。暗号資産の税金の全体像は仮想通貨の税金まとめにまとめています。

この記事は個人の所得税・住民税に関する一般的な説明です。制度の内容は国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月改訂・令和7年12月1日現在の法令等に基づくもの)などにもとづき、2026年9月29日に確認しました。申告する年分の手引きとご自身の状況をあわせて確認してください。

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