仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2024年05月7日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
近年、仮想通貨投資家が注目している投資運用としてFiNANCiE(フィナンシェ)が存在します。フィナンシェ自体はクラウドファンディングサービスの一環となっており、ブロックチェーン技術は使われていないものの、ブロックチェーンやWeb3で注目とされているトークンやコミュニティエコノミーを既存のWeb2の技術で完成したものとなっています。フィナンシェのアプリ内においては、多くのコミュニティやトークンが販売されており、売買されております。しかし、フィナンシェのトークンを取り扱う際には、税金の問題を考慮する必要があります。本記事では、フィナンシェのトークンにかかる税金について詳しく解説します。
目次
フィナンシェについては、ホームページを見るのが一番わかり易いです。フィナンシェのホームページはこちらです。
具体的なやり方は
①アプリをダウンロードしてアカウントを作成する
②クレジットカード決済などを利用してフィナンシェポイントを購入する
③上記のフィナンシェポイントを活用してコミュニティトークンを購入する
④コミュニティトークンの量に応じて投票権が得られる、また、コミュニティトークンは他人へ売却可能となっている
アプリ内のトークンを活用することでコミュニティ形成をしたり、トークン保有量でコミュニティ運営を決めていくなどの運営ができるものです。オンラインサロンに変わる次世代の新しいコミュニティ運用として、話題が出ています。
なお、フィナンシェはあくまでもアプリであり、コミュニティトークンという表現をしていますが、ブロックチェーン上のものではありません。コミュニティトークン自体は暗号資産(仮想通貨)ではないという位置づけとなっており、いわゆるアプリ内のポイントのことをコミュニティトークンとして扱っています。
フィナンシェにおいては、仮想通貨とコミュニティトークン(オーナートークン)の2種類が扱われています。
仮想通貨はFNCT(フィナンシェ)トークンとなっており、Coincheckなどの仮想通貨取引所にて売買されているものとなっています。
一方、コミュニティトークン(オーナートークン)についてですが、フィナンシェの利用規約には下記が明記されています。
オーナートークンは、株式を含む有価証券、前払式支払手段、法定通貨または暗号資産(仮想通貨)いずれでもありません。そのため、本規約等に基づいて本サービスにおいて利用する以外には、一切ご利用いただけません。当初、各オーナーが発行するオーナートークンは、当社が別途定めるルールにより価格が決まりますが、発行後は、時価で取引されます。したがって、オーナーの人気が高まれば、ユーザーが購入して保有しているオーナートークンの価値が上昇する可能性もある一方、下降する可能性もあり、価値変動に伴う損失発生のリスクがあります。
引用元:フィナンシェ利用規約第3条12項
つまり、フィナンシェのアプリ内で扱われているオーナートークン(コミュニティトークン)は有価証券、前払い式支払い手段、法定通貨、仮想通貨(暗号資産)のいずれにも該当しないものとなっております。
では、そのコミュニティトークンについては、税法上どのように扱われるのでしょうか?
以下では、フィナンシェのオーナートークン(コミュニティトークン)にかかる税金について、詳しく解説します。
フィナンシェのコミュニティトークンから生じる所得は、原則として雑所得に区分されると考えます。これは、コミュニティトークンは株式、土地、建物などではないために、譲渡所得の対象の資産ではないためです。仮想通貨投資と同じ雑所得の総合課税の対象になります。
続いて、パターン別の計算について説明していきます。
まずは、最もオーソドックスな、フィナンシェ内にてコミュニティトークンを購入した場合です。この場合においては、クレジットカードなどを通じての日本円の決済であるために、損益は生じないものとなります。コミュニティトークン自体は売却可能であることから、購入時点では経費にもならず、売却することで購入価額が必要経費として計上されるものと考えます。
フィナンシェのコミュニティトークンを売却した場合、売却価格から購入価額を差し引いた金額が所得となります。この所得は、原則として雑所得として扱われ、総合課税の対象となります。
フィナンシェのコミュニティトークンをキャンペーン等で無償で取得した場合、取得時の時価が利益となるか、そうならないかの見解が分かれています。所得税法上、経済的価値のあるものを取得した場合には、その取得時点における時価を基にして所得金額を計算します。フィナンシェトークンは売却を通じて日本円に換金することができることから、経済的価値のある資産と捉えることができますが、税法で明記されているわけではないために、無償で取得した時点で利益を認識するかどうかの見解が分かれることとなっています。
フィナンシェのコミュニティトークンを保有している場合、価格変動によって含み損益が発生します。しかし、個人で投資を運用している場合は、通常含み損益は、実現するまでは課税対象とはなりません。つまり、トークンを売却して利益を確定させるまでは、税金を支払う必要はないと考えます。
法人で暗号資産(仮想通貨)を保有している場合、期末において時価評価が必要で、含み損益は利益として課税の対象になります。いわゆる時価評価課税です。フィナンシェトークンにおいてはこの時価評価課税は必要でしょうか?ここについても明確な税法の規定がないために、意見が分かれる面がありますが、時価評価の対象は短期売買の有価証券や暗号資産に限られていることから、有価証券や仮想通貨に該当しないと明記されいているオーナートークン(コミュニティトークン)については、時価評価が不要であると考えられます。
フィナンシェのトークンにかかる税金については、雑所得の総合課税として扱われます。
フィナンシェのトークンを取り扱う際には、取引記録を適切に保管し、税務署に必要な情報を提供できるようにしておくことが重要です。税金の問題は複雑であるため、専門家に相談することをお勧めします。
フィナンシェのトークンは、今後さらに普及することが予想されます。税金の問題を適切に理解し、適切に対応することで、フィナンシェのトークンを安心して利用することができるでしょう。
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