仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2024年05月14日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
今回は、「確定申告をしなくていい金額と条件」について解説したいと思います。確定申告の時期になると、「自分は確定申告が必要なのかな?」と悩む人も多いのではないでしょうか。確定申告が必要なケースと、逆に確定申告をしなくていい場合の金額や条件について、ポイントを押さえていきましょう。
目次
まず、確定申告とは何かについて説明します。確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の仕事の収入を確定させるために、税額を自分で計算して申告することです。個人事業主やフリーランスの方は原則として毎年3月15日までに確定申告書を提出する必要があります。
会社員(サラリーマン)の場合、通常は年末調整で済みますが、年末調整を受けていない場合は確定申告が必要になります。年末調整とは、会社員向けの簡易的な確定申告となっております。年末調整を通じて確定申告が完了するために、基本的には会社員では確定申告が不要となっております。
日本では自己申告制度を採用しているため、所得税の計算と納税は納税者自身の責任で行うことになっています。
次に、どのような人が確定申告をしなければいけないのか、具体的に見ていきましょう。
原則として確定申告が必要です。ただし、事業をしていても所得が0円や赤字の場合は申告しなくてもOKなケースもあります。
また、個人事業主の場合は仮想通貨の利益が20万円以下は確定申告が不要、というルールは通用しません。個人事業主は仮想通貨の利益が1円でも出ていれば、仮想通貨の利益の申告も必要なので留意が必要です。
詳細は、下記の記事をご参照ください
記事「個人事業主(フリーランス)必見!仮想通貨取引の確定申告を正しく行うためのポイント」
給与所得だけでも年収が2000万円を超える場合は、年末調整の対象外になるため、確定申告をする必要があります。
公的年金の受取額が400万円を超える場合は確定申告が必要です。さらに、公的年金以外の所得が20万円以下であれば確定申告は不要ですが、20万円を超える場合は申告が必要になります。
源泉徴収ありの特定口座で行う株取引については確定申告不要ですが、源泉徴収なしの口座で年間20万円を超える売却益が出た場合は申告が必要です。
会社員の方が副業をしていて、給与以外の所得が年間20万円を超えた場合は、「給与所得以外の所得の合計額が20万円以下であれば確定申告は不要」というルールの例外になり、確定申告をしなければなりません。いわゆる「20万円ルール」というものですね。
なお、こちらの所得は仮想通貨の所得も含まれております。仮想通貨で20万円以上の利益が出た場合は確定申告が必要となります。
2か所以上の会社からお給料をもらっている場合、年末調整は1か所の会社でしかできません。もう片方の会社の分は確定申告で調整する必要があります。
マイホームを誰かに貸しているなど、不動産収入がある人は原則確定申告が必要です。
以上が代表的な確定申告が必要なケースになります。自分がどのケースに当てはまるのか、しっかりチェックしておきましょう。
一方で、確定申告をしなくても大丈夫なケースもあります。次の3つが確定申告をしなくてもいい人の条件になります。
会社員で、会社から受けた給与以外の所得が年間20万円以下である場合は、確定申告をしなくてもOKです。ただし、この20万円ルールはあくまでも「給与所得者」に適用されるルールで、個人事業主やフリーランスの方は別ですのでご注意ください。
事業所得が48万円を超えていなければ、確定申告をしなくても大丈夫です。これは事業所得が48万円以下の場合、確定申告をしても税金がゼロになるからです。確定申告は税務署に行って「所得が48万円以下だったので税金はゼロです」と申告する必要がないため、省略できます。
会社に勤めていて、給与以外の所得が一切ない人は原則確定申告不要です。ただし、住宅ローン控除を受けるために初年度だけ申告が必要なケースや、一定額以上の医療費控除を受ける場合などは例外的に確定申告が必要になるので注意しましょう。また、ふるさと納税をした場合もワンストップ特例を使っていなければ確定申告が必要です。
以上の3つが確定申告をしなくてもいい人の条件になります。アルバイトのみで所得が少ない学生さんなども、会社で源泉徴収されていれば通常は確定申告は必要ありません。
確定申告が必要な人が申告をしなかったり、期限に遅れて申告書を提出してしまうと、ペナルティが科される可能性があります。
申告期限に遅れてしまった場合は、延滞税や無申告加算税が課されます。さらに悪質な場合は重加算税が課されることもあります。期限内の申告を心がけましょう。
上述の通り、確定申告をしなくてもいいケースは確かにあります。しかし、したほうが得になるケースもあるので要注意です。
例えば、事業所得で赤字になり、税金がゼロのため確定申告不要だったとしても、損失を翌年以降に繰り越すことができます。これを繰越控除といいます。翌年以降に黒字になった場合、繰り越した損失と相殺することで節税につながるので、損失が出た年は確定申告をしておくと良いでしょう。
また、アルバイトのみで確定申告が不要な人でも、給与から天引きされている所得税が発生している場合は、確定申告をすれば所得税が還付されることがあります。確定申告をしてみると意外と税金が戻ってくるケースがあるので、アルバイトだけの人でもやってみる価値はあります。
年の途中で退職した人で、次の就職先の年末調整に間に合わないケースも、確定申告をした方がトクになります。年末調整で控除を受けそびれてしまった分を、確定申告で取り戻せるからです。
所得税の確定申告が不要だからといって、住民税の申告まで不要というわけではありません。前述の所得税の確定申告が不要な3つのケースに当てはまる場合でも、住民税の申告は必要になる場合があります。これを「住民税の申告」と言います。
住民税は、前年の所得に基づいて計算されるため、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の計算のために前年の所得を申告する必要があるのです。対象になる人は、お住まいの市区町村に確認して、忘れずに住民税の申告を行いましょう。
以上、確定申告をしなくていい金額と条件について詳しく見てきました。自分が確定申告をしなければいけないのか、そもそも確定申告って何なのかわからない人も多いと思います。
まずは本記事で説明した3つのケースに当てはまるかチェックしてみてください。該当しない場合でも、先に説明したように「あえて確定申告をしたほうが得になるケース」もありますから、そちらもしっかり確認しておきましょう。
また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になるケースがあるので、こちらも忘れないようにしてくださいね。
税金の話は難しいと思う人も多いかもしれませんが、自分のお金のことですから、しっかり理解しておくに越したことはありません。
分からないことがあれば、税理士や税務署に相談するのも良いでしょう。税務署は確定申告の時期になると無料の相談コーナーを設けていますから、うまく活用してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。本記事が確定申告に関する理解を深めるきっかけになれば幸いです。
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