仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2025年12月5日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
近年、暗号資産(仮想通貨)投資が大きな注目を集めています。しかし、暗号資産(仮想通貨)取引で得た利益には税金がかかることを知らない人も多いのが現状です。暗号資産(仮想通貨)投資を行う上で、税金対策は欠かせません。本記事では、暗号資産(仮想通貨)投資における税金の基本から、具体的な対策方法、専門家の活用、国内外の税制の動向まで、幅広く解説していきます。
目次
まず、暗号資産(仮想通貨)の税法上の位置づけを理解しておく必要があります。日本では、暗号資産(仮想通貨)は「経済的価値」として扱われ、所得税の対象となります。暗号資産(仮想通貨)取引で生じた所得は、原則として雑所得に区分されます。ただし、暗号資産(仮想通貨)取引を事業として行っている場合は、事業所得として申告することが可能です。ただし、事業所得として計上するには複数の要件が必要です。詳細は下記の記事をご参照ください。
記事「暗号資産(仮想通貨)取引を事業所得で申告するメリットと要件」
暗号資産(仮想通貨)取引に適用される税率は、所得税と住民税を合わせて最大で約55%にもなります。そのため、適切な税金対策を行わないと、予想以上に税負担が重くなってしまう可能性があります。
暗号資産(仮想通貨)取引で発生する利益には税金がかかるため、事前に対策を講じておくことが重要です。
ここでは、暗号資産(仮想通貨)に関する代表的な4つの税金対策をご紹介します。
個人で暗号資産(仮想通貨)取引を行うよりも、法人を設立して運営することで節税効果が期待できます。法人税率は約33%であり、個人の最高税率よりも低くなっています。また、法人であれば、事業に必要な経費を計上することができ、課税所得を抑えることが可能です。
ただし、法人運営にはデメリットも存在します。
主なデメリットは、設立コスト、維持コストが高いこと、また利益が少額な場合は個人の方が税率が優遇されていることです。
法人運営のメリットデメリットの詳細は下記の記事をご参照ください。
記事「暗号資産(仮想通貨)投資で法人化するメリットとデメリット – 節税効果と注意点を徹底解説!」
暗号資産(仮想通貨)取引に関連する必要経費を漏れなく計上することも重要な税金対策の一つです。例えば、取引所の手数料、トレーディングツールの購入費用など、暗号資産(仮想通貨)取引に直接関連する費用は必要経費として計上できます。
ただし、暗号資産(仮想通貨)取引に関係しないものを必要経費として計上してしまうと、それは脱税になる可能性があります。必要経費になるかどうかについては、慎重に判断しなければなりません。
必要経費の計上に関しては、納税者の属性により計上できる範囲が異なってくることとなっています。詳細は下記の記事を参照下さい。
記事「【税理士監修】徹底解説!!暗号資産(仮想通貨)の必要経費」
含み損が生じているトークンを年末に売却することで、税負担を抑えることができます。この手法を「損切り」と呼びます。損切りを行うことで、暗号資産(仮想通貨)の他の取引で発生した利益と損失を相殺し、課税所得を減らすことが可能です。
ただし、含み損トークンを損切りするためには、常に自身の暗号資産(仮想通貨)ポートフォリオを管理しておかなければなりません。ポートフォリオとは、暗号資産(仮想通貨)ごとの保有枚数、取得単価、時価を管理することです。暗号資産(仮想通貨)でのポートフォリオ管理は非常に複雑であるため、損益計算ツールを活用して管理するのが良いでしょう。
海外に移住することで、日本の税制から離脱し、税負担を抑えることができます。ただし、海外移住には様々なリスクや課題があるため、慎重に検討する必要があります。また、移住先の国の税制についても十分に理解しておく必要があります。
海外移住に関しては、税務上の非居住者の定義を満たさなければなりません。非居住者を満たすには留意するべき事項があります。詳細は下記の記事をご参照ください。
記事「暗号資産(仮想通貨)投資家必見!海外移住で税務上の非居住者になって節税しよう」
さらに、暗号資産(仮想通貨)については、2026年以降に金融商品に分類される見込みとなっています。金融商品に分類されると、出国税の対象になる可能性がありますので、それも海外移住の際のデメリットになります。
暗号資産(仮想通貨)税制は複雑であり、自分だけで対策を立てるのは難しいかもしれません。そのような場合は、暗号資産(仮想通貨)に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、適切な税金対策を行うことができます。
日本では、国税庁が「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)」をほぼ毎年更新しており、暗号資産(仮想通貨)に関する税務の情報がアップデートされています。現在、暗号資産(仮想通貨)取引で生じた所得は、原則として雑所得の総合課税として扱われています。ですが、暗号資産(仮想通貨)の税金が高いということは問題として挙がっており、自民党はWeb3ホワイトペーパー2024などを通じて暗号資産(仮想通貨)の税率を下げるような要望を出しています。このように、暗号資産(仮想通貨)の税制の動向についても注視していきたいところです。
本記事では、暗号資産(仮想通貨)投資における税金対策について詳しく解説してきました。税金対策の重要ポイントをまとめると以下のようになります。
暗号資産(仮想通貨)投資は、高いリターンが期待できる一方で、税金の問題は避けて通れません。適切な税金対策を行うことで、安心して暗号資産(仮想通貨)投資に取り組むことができるでしょう。
今後も、暗号資産(仮想通貨)税制の動向には注意を払い、必要に応じて対策を見直していくことが重要です。本記事が、読者の皆様の暗号資産(仮想通貨)投資における税金対策の一助となれば幸いです。
免責事項
当記事のコンテンツ・情報について、正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。 当サイトに掲載された内容によって生じた損害等は、一切の責任を負いかねますのでご了承ください。