2025年04月15日

仮想通貨/暗号資産

仮想通貨の相対取引(OTC)とは?仕組み・メリット・リスク・税金まで徹底解説

この記事の監修者

村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

1. はじめに

仮想通貨の世界では、取引所を利用して売買する方法が一般的ですが、実はもう一つの方法として「相対取引(OTC取引)」という手段が存在します。

相対取引とは、取引所を介さずに個人同士で直接仮想通貨の売買を行う方法です。大口取引や、特定の価格で取引したいときに利用されることが多く、近年では世界的にも活用が進んでいます。

本記事では、仮想通貨の相対取引について、仕組みやメリット・リスク、さらには税金面での注意点まで、税理士の視点でわかりやすく解説していきます。

2. 仮想通貨の相対取引(OTC)とは?

仮想通貨の相対取引とは、取引所を通さずに、売り手と買い手が1対1で価格や数量を交渉して直接取引を行う方法です。

英語では「Over The Counter(OTC)」取引とも呼ばれます。OTC取引には大きく2つのパターンがあります:

  • 個人間で直接取引するパターン
  • 取引所が提供する大口投資家向けOTCサービス

今回は前者、つまり”投資家同士で行う個人間取引”に焦点を当てます。

3. 相対取引の普及背景と市場動向

相対取引は、世界中でそのニーズが高まりつつあります。

たとえば中国では、仮想通貨取引所の規制強化を背景に、個人間での取引が主流となっています。一部のレポートでは、相対取引の取引高が1年で10倍にまで成長したという話もあるほどです。

また、アメリカではGenesis Global Trading社が金融当局からライセンスを取得し、機関投資家向けのOTCデスクを運営しています。

4. 相対取引が選ばれる4つの理由

1. 取引所のハッキング・セキュリティリスクを回避

仮想通貨取引所は過去に何度もハッキングの被害に遭っており、資産を預けるリスクが常に存在します。そのため、セキュリティ面を重視する人は相対取引を選ぶ傾向にあります。

2. 歴史ある取引手法

相対取引は、古くから存在する商取引の基本形でもあります。リアル店舗やネットオークションなども相対取引に分類されます。

3. 相場に影響されず自由な価格設定が可能

相対取引では市場の板に影響を与えず、当事者同士で価格を自由に決められます。これは価格操作の影響を避けたい大口投資家には特に魅力的です。

4. SNSなどの普及により相手を探しやすくなった

FacebookやX、TelegramなどSNSの普及により、取引相手を見つけることが簡単になりました。信用スコアやフォロワー数なども相手の信頼性判断に役立ちます。

5. 相対取引のメリット

  • 大量の仮想通貨を一度に取引できる
  • 市場価格に影響を与えにくい
  • 手数料が発生しない、もしくは少ない
  • 柔軟な交渉が可能で、迅速に取引が成立する

これらの理由から、特に大口取引を行う投資家や法人が相対取引を選ぶケースが多く見られます。

6. 相対取引のリスク

  • 詐欺やトラブルのリスクが高い(特に初対面の場合)
  • 信用情報の少ない相手との取引はトラブルになりやすい
  • 法的トラブルになった場合の責任所在が曖昧になりやすい

実際に日本国内でも相対取引を装った詐欺事件が報告されており、暗号資産を先に送ったものの、現金が支払われなかったといった被害が出ています。

7. 【重要】仮想通貨の相対取引にかかる税金とは?

相対取引は課税対象

相対取引で得た利益も、仮想通貨の売買益として原則、「雑所得」に区分され、総合課税の対象になります。

たとえ取引所を介していないとしても、売却益が出ていればしっかりと申告が必要です。

取引記録の保存が必須

取引所を介さないため、取引履歴が自動で残ることはありません。 そのため、以下のようなエビデンスを自分で保存しておく必要があります:

  • ウォレットアドレスの入出金履歴
  • チャットのやり取り(LINE・Telegram・Discordなど)
  • 契約書や送金明細のスクリーンショット

低額譲渡に留意

仮想通貨を時価よりも大幅に低い価格で売却する場合は、時価に近い金額で売却したものとして税金を計算しなければなりません。

これを”低額譲渡”と言います。

具体的には、時価の70%未満で売却した場合は、時価の70%で売却したものとして処理し、売却益を計算しなければならないこととなります。

海外との取引でも課税対象

日本に住んでいる限り、国外の相手との相対取引であっても課税対象となります。マネーロンダリングや無申告取引と疑われないよう、記録は確実に保管しておきましょう。

雑所得の申告漏れに注意

仮想通貨の相対取引は”バレにくい”と誤解されがちですが、税務署は暗号資産の出入りや保有残高の変動、さらには銀行の入出金の情報を監視しています。不自然な資金移動があると調査対象になりかねません。

8. 初心者が相対取引をする際の注意点

初心者には、まず取引所で仮想通貨の取引に慣れることをおすすめします。

相対取引を行う際は:

  • 少額から始める
  • SNSで相手の信用情報を確認する
  • 一度会ったことのある人物とのみ取引する
  • 必ず記録を残す

といった対策が必要です。

9. まとめ

仮想通貨の相対取引は、取引所に依存せず自由度の高い取引が可能で、大口投資家を中心に活用が進んでいます。

ただし、詐欺リスクや税務上の申告義務といった注意点も多く、安易な利用は避けるべきです。

特に税務面では、「利益が出ていれば課税される」「証拠を残す」「申告漏れに注意」といった基本を忘れず、自己責任で取引を行う必要があります。

不安がある場合は、仮想通貨に詳しい税理士など専門家への相談をおすすめします。

 

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