仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2025年09月18日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
「仮想通貨を売らずに(税金がかからずに)現金化できる」ーーそんな夢のようなサービスが、今まさに広がりつつあります。
それが 仮想通貨(暗号資産)担保ローン です。
保有しているビットコインやイーサリアムを担保に差し出すだけで、売却せずに日本円を借りられるのが特徴。
しかも、担保設定自体には税金がかからないのが一般的です。
本記事では、
について、税理士の視点から分かりやすく解説します。
目次
仮想通貨担保ローンとは、ビットコインなどの暗号資産をサービス事業者に担保として預け、その評価額に応じて日本円や米ドルなどの法定通貨を借りられる仕組みです。
たとえば、
担保に差し入れるだけなので、仮想通貨を売却する必要がなく、保有し続けたまま現金化できるのが最大の特徴です。
担保設定は「譲渡」にはあたらないため、通常の売却時のように課税されません。
そのため、課税を回避しながら資金調達できます。
担保中は仮想通貨を売却できないため、強制的に長期保有(いわゆるガチホ)が可能です。
銀行ローンのような厳しい与信審査がなく、仮想通貨の数量と時価によって自動的に融資額が決定し、借入までの期間がスピーディです。
BTCやETHに加え、USDT、XRP、SOLなど主要アルトコインも担保対象になるケースがあります。(仮想通貨担保ローン提供の事業者により、扱えるコイン種類が異なります)
担保ローンは融資であるため、返済義務があります。満期までに元本+利息を支払う必要があります。
多くの場合、年利5%程度の利息がかかります。借入期間が長いほど負担は増えます。
担保にした仮想通貨は、売却・ステーキング・DeFi運用などが一切できません。
担保に対して借りられる金額には上限があります。
例えば掛け目60%であれば、担保提供資産1億円だとしても、担保ローンで借入できる金額は6,000万円となります。
また、価格下落で担保割れが起きると、追加入金や強制清算のリスクが発生します。
ある投資家が5億円分の暗号資産を保有していたとします。
👉 担保ローンを活用することで、保有資産を売らずに毎年安定したキャッシュフローを得られる可能性があります。
次に、価格上昇を見込んだケースです。
👉 担保ローンを使うことで、単純ガチホよりも1.2億円多い資産形成につながる可能性があります(税金・利息考慮前)。
仮想通貨を担保に入れるだけでは、売却(譲渡)に該当せず課税されません。株式や不動産を担保に入れる場合と同じ扱いです。
もし返済できず担保の仮想通貨が処分された場合ですが、こちらは、税金は発生しないこととなります。
詳細は、国税庁の下記のページをご参照ください。
国税庁「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」
ブロックチェーン上の記録だけを見ると「仮想通貨を売却して日本円化した」ように見える場合があります。
税務署に誤解されないよう、借入契約書・返済計画書・取引履歴を必ず保存しておきましょう。
仮想通貨担保ローンはまだ新しい分野であり、国税庁の見解も発展途上です。
現状では「担保設定=課税なし」とされていますが、今後FAQ改定などで解釈が変更される可能性もあります。
利用者は、最新の税制情報を常にチェックし、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
仮想通貨担保ローンは、
といったメリットがあります。
一方で、
といった注意点も存在します。
「税金がかからないからラッキー」ではなく、正しい知識と管理体制を持ったうえで活用することが大切です。
特に金額が大きくなる場合は、必ず税理士などの専門家に相談してから利用しましょう。
当記事は一般的な情報提供を目的としています。内容の正確性を保証するものではなく、具体的な取引・申告については必ず専門家にご相談ください。