2025年07月4日

仮想通貨/暗号資産

【2025年最新版】シンガポールにおける仮想通貨の税金とは?

この記事の監修者

村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

近年、仮想通貨で大きな利益を得た投資家たちの間で、「シンガポールに移住すれば税金がかからないらしい」という話題が広まっています。日本では仮想通貨による利益は最大55%の所得税・住民税が課される一方、シンガポールでは“非課税”との情報が出回り、移住や法人設立を検討する人も増えています。では、本当にシンガポールは仮想通貨投資家にとって天国なのでしょうか?

結論:シンガポールでは仮想通貨のキャピタルゲイン課税は原則なし!

シンガポールでは、個人が投資目的で保有している仮想通貨を売却して得た利益(キャピタルゲイン)は、原則として課税されません。つまり、ビットコインやイーサリアムを保有して価格が上昇し、利益を得ても、税金を支払う必要がないというのが基本ルールです。

注意点①:「事業としての仮想通貨取引」は課税対象

仮想通貨を頻繁に売買している、マイニングを行っている、NFTを販売している、DeFiプロトコルを活用して利回りを得ている場合などは、「投資」ではなく「事業」と見なされるリスクがあります。この場合、シンガポールの所得税(最高20%)が課されることになります。法人を通じて仮想通貨取引を行う場合も、当然ながら法人税が発生します。

注意点②:シンガポールに住んでいないと意味がない

「シンガポールが非課税だから」といって、居住地が日本のままでは意味がありません。日本の税法では、日本に居住している限り“全世界所得”が課税対象になります。つまり、日本に住みながらシンガポール法人を作っても、日本の税務署から逃れることはできません。シンガポールでの非課税メリットを享受するには、実質的な居住者(税法上の非居住者の要件を満たすこと)である必要があります。

海外移住の際の非居住者の要件については、下記の記事を参考にすると良いでしょう。

記事「仮想通貨投資家必見!海外移住で税務上の非居住者になって節税しよう

また、近年はCRS(共通報告基準)により、海外口座や仮想通貨関連の取引情報も各国の税務当局間で共有されるようになってきており、「バレないだろう」は通用しません。

日本との税制比較

また、シンガポールはその他の税金も低めに設定されています。

主な税金の日本とシンガポールの比較は下記の通りです。

税制項目

日本

シンガポール

仮想通貨売却益

総合課税(最大55%)

原則非課税

所得税

累進課税(~55%)

累進課税(~20%)

消費税/GST

10%

9%(仮想通貨には非課税)

相続税・贈与税

あり

なし

社会保険料

高額(健康保険・年金等)

原則なし(CPF制度あり)

よくある誤解とQ&A

  • Q1. 一度シンガポールに住めば、ずっと非課税ですか?

    • 短期的にシンガポールに滞在し、日本に帰国する場合は、税法上の非居住者の要件を満たしていないと判断され、シンガポールでの所得に対して、日本で納税する義務を負う可能性があります。海外移住して節税を目的にするのであれば、長期的(それこそ10年以上)な滞在が望ましいでしょう。

  • Q2. シンガポール法人を作れば節税できますか?

    • 居住者が日本のままだと、タックスヘイブン税制の適用がされる可能性があり、実質的に日本での法人税率と同じ税金が発生することとなります。シンガポール法人を作って節税したいのであれば、日本の非居住者になる必要があります。もしくは、タックスヘイブン税制の適用を受けないようなスキームを事前に検討しておく必要があります。

まとめ:シンガポールは確かに有利だが、要注意ポイントも多い

シンガポールの仮想通貨税制は、投資家にとって非常に魅力的です。特に長期保有によるキャピタルゲインが非課税となる点は、日本の重税感と比べて圧倒的な優位性があります。ただし、”節税”と”脱税”は紙一重。居住地の要件や事業性の有無、国際的な情報共有体制を理解せずに行動すると、後々大きなリスクを背負うことになります。

専門家のサポートを受けながら、正しい知識と戦略で行動することが、賢い仮想通貨投資家の第一歩です。

 

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