仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2025年07月28日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
仮想通貨の損益計算で「総平均法と移動平均法って何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?
本記事では、評価方法としての総平均法と移動平均法の違いや、それぞれの計算例、注意点、実務での選び方について、税理士が分かりやすく解説していきます。
目次
仮想通貨で利益が出るのは、基本的に売却やスワップなどを行ったときです。
計算式としては以下のとおり。
利益 = 売却額 − 取得価額(取得単価)
この「取得価額(取得単価)」の算出方法として、「総平均法」か「移動平均法」のいずれかを選ぶ必要があります。
仮想通貨の評価方法として認められている総平均法と移動平均法の概要と特徴は下記のとおりです。
評価方法 |
概要 |
特徴 |
総平均法 |
1年間の取得金額と数量の平均で評価 |
個人の原則方式。シンプルで管理しやすい |
移動平均法 |
取得の都度、単価を更新 |
法人の原則方式。精度は高いがやや複雑 |
また、計算方法別のメリットとデメリットは下記のとおりです。
評価方法 |
メリット |
デメリット |
総平均法 |
計算がシンプル |
年末になるまで損益が確定しない |
移動平均法 |
取引の都度計算が必要であり、計算が煩雑になりやすい |
取引の都度、損益が確定するため、期中での損益把握ができる |
以下のようなBTC取引の例で、評価額と利益を比較してみましょう。
→ 5月の売却益:250万 − 200万 = 50万円
上記が、総平均法と移動平均法の計算方法の違いによる影響額となります。
総平均法においては、1年間の購入合計で計算するために、11月などの年末付近に高い価格で購入することで、期中の利益を押し下げることが可能となります。
対して、移動平均法は期中で損益が確定するために、今回の事例のケースにおいては、総平均法よりも高い利益が計算されることとなりました。
総平均法と移動平均法の適用に関しては、税務上で留意する事項が主に4つ存在しています。
事前に税務署に届け出をしていない場合、個人は総平均法が適用されますし、法人は移動平均法が適用されることとなります。
個人でも「移動平均法」、法人でも「総平均法」が選択可能です。申告期限までに税務署に届出書を提出する必要があります。
一度選択した評価方法は、3年間は変更ができません。途中で気軽に変えることはできないため、慎重に選びましょう。
たとえば「BTCは移動平均」「ETHは総平均」とすることも可能です。ですが、損益計算ツールによってはコインごとに評価方法を変えるという設定ができないことがあるので注意が必要です。
長期的に見れば、どちらを使っても最終的な総損益は同じになります。
つまり、投資開始年度から投資の終了年度までのトータル損益は、総平均法でも移動平均法でも同じ計算結果となります。
長期的にはトータル損益は同じではありますが、総平均法と移動平均法によっては、年度ごとの損益が異なる場合があります。
理想としては、状況に応じてシミュレーションできればベストですが、仮想通貨の損益計算は膨大な時間がかかります。確定申告の〆切(3月15日)に間に合わなくなるリスクもあるため、「原則通り」で進めるのが安全策です。
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