2024年08月7日

仮想通貨/暗号資産

仮想通貨の損失は確定申告が必要?損失申告の注意点についても解説!

この記事の監修者

村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

近年、仮想通貨投資が大きな注目を集めています。しかし、投資には常にリスクがつきものです。特に、仮想通貨の価格は変動が激しく、損失を出してしまうことも珍しくありません。もし、仮想通貨投資で損失を出してしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか?ここでは、仮想通貨投資で赤字が出た場合の留意点を解説します。

仮想通貨の損失は雑所得になるため確定申告は不要

仮想通貨の損失は、税務上、基本的には雑所得として扱われます。雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得とされています。

雑所得は、赤字を翌年以降に繰り越すことができないこと、さらに他の所得と相殺できないこと(損益通算ができない)という性質があります。そのため、雑所得の損失を申告したとしても、結果的に税金金額は変わらないこととなります。

結果として、仮想通貨投資で損失であった場合は、確定申告の必要がないこととなります。

仮想通貨で損失した場合でも確定申告が必要なケースもある

上述の通り、仮想通貨の損失は、他の所得と相殺ができません(損益通算ができない)。

ですが、仮想通貨と同じ、雑所得に分類される所得であれば、その所得と仮想通貨の損失を通算することができます
これはいわゆる内部通算と言われており、同一の所得区分であれば損失と利益が合算されて、節税を図ることができることとなっています。

仮想通貨と同一の所得とは、雑所得かつ総合課税のものとなっております。

具体的には以下のような取引が、仮想通貨投資と相殺可能な所得となっています。
(仮想通貨の損益と合算することができる損益の例)

  • 海外FX取引所を利用したことによる損益
  • (事業的規模で行っていない)副業(業務委託料や原稿料など)の収入
    など

例えばですが、仮想通貨で50万円の損失を計上し、海外FX取引所で70万円の利益を認識した場合、これらの損益は合算され、純額である20万円に対して税金が課税されることとなるので、仮想通貨の損失を申告することで節税を図ることができます。

仮想通貨の損失計算方法

仮想通貨の損失を計算するためには、まず年間の売却損益を計算する必要があります。売却損益は、売却価格から取得価格を差し引いて計算します。例えば、100万円で購入した仮想通貨を80万円で売却した場合、売却損は20万円となります。

複数の仮想通貨を取引している場合は、すべての取引について売却損益を計算し、合計する必要があります。計算が複雑な場合は、取引所から発行される取引報告書を活用したり、エクセルなどで取引履歴を記録しておくと便利です。さらに、Metamaskなどのウォレットを保有し、自身で取引を行っている場合では、そのウォレットアドレスに紐づく取引も計算の対象に入れないといけません。

また、仮想通貨の取引には、売却価格や取得価格の他に、手数料やガス代などの諸経費がかかります。これらの諸経費は、売却損益の計算に含める必要があります。取引履歴から手数料やガス代を集計し、必要経費として計上する必要があります。

さらに、仮想通貨の取引で利用する通貨が複数ある場合は、為替レートの変動も考慮する必要があります。例えば、日本円で購入した仮想通貨を、米ドルで売却した場合、売却時の為替レートを使って日本円に換算する必要があります。

仮想通貨の損失計算は、複雑で時間がかかる作業です。しかし、正確に計算することが、適切な申告につながります。専門的な知識が必要な場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

仮想通貨の損失申告における注意点

仮想通貨の損失申告を行う際は、以下の点に注意が必要です。

  • 申告漏れのリスク
  • 税務調査対策
  • 記録づけの重要性

仮想通貨の取引は、税務署でもインターネット等取引として、ここ最近は注視されている分野になっています。仮想通貨で利益が出ているものの、しっかりと確定申告を行わないと、将来的に税務調査を受ける可能性があります。税務調査では、取引所から取引データを入手されることもあるため、正直に申告しておくことが大切です。

また、仮想通貨の取引は記録づけが非常に重要です。取引履歴を正確に記録しておかないと、損益計算が難しくなります。エクセルなどで、日付、銘柄、数量、価格、手数料などを記録しておくか、クリプタクトなどの損益計算ツールを活用するのが良いでしょう。

まとめ

仮想通貨投資で損失を出してしまった場合は、確定申告は不要となっています。ただし、同じ雑所得の総合課税のものがあれば損益を合算することができ、結果的に税金を減らすことができるため、この場合は仮想通貨の損失を申告することが有用です。

申告の際は、取引報告書や取引履歴の記録が必要不可欠です。また、申告漏れや税務調査にも注意が必要です。正確な記録づけと、適切な申告を心がけましょう。

確定申告は、専門的な知識が必要な部分も多いです。自分で申告することに不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

仮想通貨投資を行う際は、リスクを十分に理解し、自分の資力に見合った投資を心がけましょう。

 

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