仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2024年05月7日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
近年、仮想通貨取引が大きな注目を集めています。多くの人が仮想通貨に投資し、利益を得ることを目指していますが、同時に税金についての関心も高まっています。仮想通貨に関する税金は、いつ、どのようにかかるのでしょうか?本記事では、仮想通貨税金のタイミングと計算方法について詳しく解説します。
目次
まず、仮想通貨の税務上の扱いについて理解することが重要です。日本では、仮想通貨による利益は、原則として雑所得として扱われます。総合課税の対象になっているために、税率は15%から55%の累進課税(所得税及び住民税合計)が適用されます。利益が多ければ多いほど税率が高くなっています。
なお、仮想通貨は年末調整の対象外となっているために、会社員であっても一定の利益が出ているのであれば、確定申告が必要となっています。
仮想通貨の税金がかかるタイミングは、主に以下の6つです。
仮想通貨を売却して利益が発生した場合、その利益に対して課税されます。
売却時の利益は売却価額と購入価額の差額となっています。購入価額の方が高い場合は利益ではなく損失として計算されます。
仮想通貨で商品やサービスを購入した場合、その時点での仮想通貨の価値と購入額との差額が利益として課税対象になります。
例えばですが、過去に1ETHを5万円で購入し、1ETHが50万円になったタイミングで、50万円相当の商品を1ETHで購入した場合は、利益=50万円−5万円=45万円が認識されます。
仮想通貨を他の仮想通貨と交換した場合、交換時点での価値の差額が利益として課税対象になります。
例えばですが、過去に1ETHを5万円で購入し、1ETHが50万円になったタイミングで10BNBと交換した場合、利益=50万円−5万円=45万円が認識されます。
マイニングやステーキング、レンディングなどの仮想通貨の運用によって、報酬となる仮想通貨を取得した場合、取得時点での仮想通貨の価値が収入として課税対象になります。
エアドロップやギブアウェイなどによって仮想通貨を取得した場合、取得時点での仮想通貨の時価が収入として課税対象になります。これは、仮想通貨自体が日本円に換金できる資産として扱われており、仮想通貨は経済的価値のある資産として認識されているためです。所得税法上、経済的価値のある資産を取得した場合は、取得した時点で利益を認識する必要があるためです。
仮想通貨先物取引、いわゆる仮想通貨FXをされている方であれば、決済時に損益が生じることとなります。決済時の損益は、仮想通貨取引に関する損益として計算されることとなります。
一方、以下の取引では仮想通貨の税金は発生しないこととなります。
日本円で仮想通貨を購入したのみでは、税金がかからないこととなります。
仮想通貨を他の仮想通貨に交換する、仮想通貨を売却するなどの行為がなければ税金はかかりません。そのために、過去に仮想通貨を購入し、そのまま塩漬けにしている状態であれば税金がかからないこととなります。
ファーミングやステーキングのために、仮想通貨をロックするだけでは税金はかかりません。ロックすることによって報酬を受け取った場合は、その報酬相当額は受け取った時点で課税対象の利益として認識する必要がありますが、ロックするのみでは税金はかからないこととなります。
複数の仮想通貨取引所を利用している場合、自己の取引所間の仮想通貨の移動は損益の対象外となります。また、メタマスクなどの自身の仮想通貨ウォレットを保有している場合も同様で、自身の仮想通貨取引所→自身のメタマスクへの送金は税金の対象外となります。
仮想通貨の税金は、売却時、購入時、交換時、マイニング時、エアドロップ・ステーキング報酬受取り時などに発生します。適切な申告を行うためには、取引記録を正確に保管し、税金の計算方法を理解しておく必要があります。仮想通貨税制は変化し続けているため、専門家に相談することをおすすめします。適切な申告を行うことで、仮想通貨取引を安心して行うことができるでしょう。
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