2024年05月16日

NFT

NFTの利益に税金がかかることを知っていますか?バレないのは勘違いです

この記事の監修者

村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

近年、NFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)の人気が急上昇し、多くの人々が NFT の取引に参加するようになりました。2021年には、NFT の取引量が前年比で100倍以上に増加するなど、その市場規模は飛躍的に拡大しています。しかし、NFTで利益を得た人の中には、税金について十分な理解がない方もいるかもしれません。「NFTの利益には税金がかからない」「バレないから申告しなくても大丈夫」といった誤った認識を持つ人もいます。そこで本記事では、NFTと税金の関係について詳しく解説します。

NFTの課税対象となる取引

NFTに関連する以下のような取引は、課税対象となります。

1. NFTの売却益

NFTを購入し、それを売却して利益を得た場合、その売却益に対して課税されます。例えば、10万円で購入したNFTを50万円で売却した場合、40万円の売却益が課税対象となります。

2. NFTの発行収入及びロイヤリティ収入

NFTクリエイターは、自身の作品をNFTとして新規に販売することで収入を得ることができます。さらに、二次流通としてNFTとして取引される際に、ロイヤリティを受け取ることができます。このロイヤリティ収入も課税対象となります。結果として、発行時のNFT販売収入およびロイヤリティ収入の2つとも課税対象となります。

3. NFTのエアドロップ

プロジェクトの宣伝目的などで、無料でNFTが配布される「エアドロップ」があります。エアドロップで受け取ったNFTを売却した場合、その売却益に課税されます。

NFTのエアドロップについては、下記の記事を参照ください。

記事「NFTをエアドロップでもらったら税金がかかる!?税理士が解説します。

4. NFTを用いたゲームでの収益

NFTを用いたゲームで、アイテムの売買やゲーム内通貨の獲得によって利益を得た場合も、課税対象となります。

NFTゲーム、いわゆるブロックチェーンゲームの税金については、下記の記事を参照ください。

記事「ブロックチェーンゲーム(BCG)で得た収益にかかる税金の基礎知識

NFTの税務上の取り扱い

所得の種類

個人で扱うNFTの利益は、所得税の対象となります。基本的には雑所得として申告が必要です。雑所得は、利子所得、配当所得、不動産所得などに分類されない所得を指します。NFTの売却益やロイヤリティ収入は、この雑所得に当てはまります。

計算方法

雑所得の計算方法は以下の通りです。

雑所得 = 収入金額 – 必要経費

NFTの場合、収入金額はNFTの売却価格やロイヤリティ収入などになります。一方、必要経費には、NFTの取得価格や売却にかかった手数料などが含まれます。

例えば、10万円で購入したNFTを50万円で売却し、売却時に1万円の手数料がかかった場合、以下のように雑所得を計算します。

雑所得 = 50万円(売却価格)- 10万円(取得価格)- 1万円(手数料)= 39万円

この39万円が課税対象となる雑所得額です。

実際には、NFTの売買はイーサリアムやポリゴンなどの仮想通貨を使って売買されることとなります。その場合は、仮想通貨のその時の時価をもって購入と売却を計算することとなります。

NFTはバレない?税務署にバレる理由

「税務署はNFT取引までは追及してこない」「NFT取引はバレない」などという噂がありますが、実際に税務署はNFTの取引に関しても調査を進めています。

税務署はどのようにしてNFTの無申告を探しているのでしょうか?主な調査ルートについて説明します。

ブロックチェーンから分析する

NFTの取引は、ブロックチェーン上で行われます。ブロックチェーンは、取引履歴が透明で追跡可能であることが特徴です。つまり、NFTの取引履歴は誰でも確認することができるのです。

この特性により、税務当局もNFT取引を追跡することが可能です。取引所の情報開示や、ブロックチェーン分析ツールを用いることで、個人のNFT取引を特定し、課税漏れがないかチェックすることができます。

仮想通貨取引所の取引履歴から分析する

NFTの取引をされている方であれば、仮想通貨取引所を利用しているケースがほとんどかと思います。NFTは通常、イーサリウムやポリゴンなどの仮想通貨で決済されるケースがほとんどであることから、仮想通貨取引所を開設し、そこで該当の仮想通貨を購入しているケースがほとんどです。

税務署は、仮想通貨取引所に対しても取引履歴の提出などの要望をすることができます。仮想通貨取引所としても税務署に非協力となると制裁を受ける可能性があるために、税務署からの要望に従って資料を税務署に提出しています。

このように、税務署は仮想通貨取引所から入手した取引履歴等を元に、NFTの無申告を探すことができます。

銀行口座の入出金から分析する

NFTの売買等で利益を得た場合、最終的には日本円として銀行口座に入金し、そこから多くの商品やサービスを購入するのが一般的かと思います。

税務署は、銀行口座の入出金情報も入手しています。

これは、仮想通貨取引所と同様に、税務署は強い権力を持っているために、各銀行に顧客の入出金履歴の提出を要望することができます。

このように、税務署は銀行の入出金を見て、無申告があるかどうかを判断し、無申告の可能性が高ければ税務調査等を通じてNFTの無申告を探すことができます。

SNSから分析する

また、税務署はX(旧Twitter)やYoutube、Instagramなどの各種SNSもチェックしています。

例えばですが、高級車や住宅の購入などの高い製品の購入などをした際は、税務署はその資金の出所を確認します。

確定申告の情報は税務署は入手しているので、確定申告書に記載された内容と、SNSでのキラキラした生活との間に乖離があるのであれば、税務署から怪しまれても仕方ありません。

 

結果として、「NFTの利益はバレない」と考えるのは危険です。脱税が発覚した場合、追徴課税やペナルティが課されるリスクがあります。

脱税は危険。正しく申告しよう

NFTの利益に対して適切に税金を納めることは、私たち納税者の義務です。脱税は法律で禁じられており、発覚した場合は重い罰則が科されます。

一方で、正しい税務申告を行うことで、節税の可能性もあります。例えば、NFTの取得価格や売却にかかった手数料などを適切に計上することで、課税所得を減らすことができます。

NFTの税務については、専門的な知識が必要となる場合もあります。取引量が多い場合や、複雑な取引を行っている場合は、税理士に相談することをおすすめします。税理士は、適切な税務処理についてアドバイスをしてくれます。

まとめ

NFTの人気が高まる中、その利益に対する課税のルールを理解することが重要です。NFTの売却益やロイヤリティ収入、エアドロップで得たNFTの売却益、NFTを用いたゲームでの収益など、様々な取引が課税対象となります。

NFTの利益は、所得税の雑所得として申告が必要です。また、NFT取引はブロックチェーン上で透明に記録されるため、税務当局も取引を追跡可能です。脱税はバレるリスクが高く、ペナルティも重くなります。

NFTで利益を得た場合は、正しい 確定申告を心がけましょう。適切な申告を行うことで、ペナルティを避け、節税の可能性もあります。専門的なアドバイスが必要な場合は、税理士に相談することをおすすめします。

NFTの利益には確実に税金がかかります。バレないと考えるのは危険です。正しい申告と納税を心がけることが、NFTを取り扱う上で重要なポイントとなります。

 

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