仮想通貨で海外取引所を利用したら税金はどうなる?計算方法は?税理士が解説します
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2024年05月21日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
近年、日本の高い税率を避けるために、海外移住を検討する方が増えています。海外に住むことで日本での納税義務がなくなれば、大きな節税効果が期待できるでしょう。
しかし、単に日本を出れば税金を払わなくて良いわけではありません。税務上のメリットを得るためには、税法に定める「日本の非居住者」の要件を満たす必要があるのです。
今回は、税法上の非居住者の定義や具体的な判断基準について、くわしく解説していきます。海外移住を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
日本での申告納税を避けるためには、まず「日本の非居住者」に該当する必要があります。
非居住者の要件については、国税庁のホームページに記載されております。
(以下、国税庁ホームページより引用)
国内法による扱い
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
なお、一定の場合には、その人の住所がどこにあるかを判定するため、職業などを基に「住所の推定」を行うことになります。詳しくは「別紙 住所の推定」を参照してください。
「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
法人については、本店または主たる事務所の所在地により内国法人または外国法人の判定が行われますが、その判定に当たっては、登記や定款等の定めなどによることになります(これを一般に「本店所在地主義」といいます。)。
上記を読んでいただければわかりますが、税法上の非居住者になるためには、明確なルールがあるわけではありません。例えば、「180日ルール」と呼ばれる「半年以上日本にいなければ非居住者になれる」といった単純なルールはありません。
あくまでも個人の状況を見て、税務署が総合的に判断することになります。
それでは、非居住者と認められるための具体的な要件はどのようなものでしょうか。
過去の判例などから、主に以下の5つの要素が考慮されます。
どの国に何日くらい滞在しているかがポイントです。海外に居住できる有効なビザを持っているかどうかも重視されます。
配偶者や子供と一緒に海外で暮らしているか、それとも家族が日本にいるかで判断が分かれます。ただし、単身赴任のように一時的に家族と離れて暮らすケースは例外です。
海外で1年以上働く職についているかどうかをチェックされます。逆に、日本国内で継続して1年以上居住することが常識的に必要とされる職業に就いている場合は、日本の居住者とみなされやすくなります。
不動産や金融資産がどこにあるかも重要な判断材料です。日本に不動産を所有していたり、日本の証券会社に預けた配当金で生活費を賄っていたりすると、日本の居住者と判定されるリスクが高まります。
賃貸借契約書、公共料金の領収書、引越しの領収書など、海外での生活実態を証明できる書類の提出を求められる場合があります。
以上の5つの要素を総合的に勘案して、税務署が居住者か非居住者かを最終的に判断します。仮に非居住者と認められれば、日本での所得税が軽減される可能性があるため、富裕層を中心に関心の高いテーマと言えるでしょう。
しかし、非居住者の認定を受けるのは簡単ではありません。実際に、海外に9ヶ月ほど滞在していたにもかかわらず、現地ではホテル暮らしだったために非居住者と認められず、日本で納税を求められたケースもあります。
つまり、海外に生活の本拠地がしっかりと存在していることが非常に大切だと言えます。現地で賃貸物件を借りるなどして、税務署に「海外で生活している事実」を明確に示せるよう準備しておきましょう。
また、日本にいる期間が長すぎると、たとえ海外に居住実態があっても非居住者と認められない恐れがあります。一時帰国の日数にも注意が必要です。
さらに、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」という国税庁の部分にも留意する必要があります。これは、主観的なもの、つまり納税者の主張のみでは判断せず、客観的事実、つまり納税者以外からの情報(賃貸会社やパスポートなど)に基づいて判断することとなります。主張を裏付ける資料をしっかりと準備しておく必要があります。
日本の非居住者になれば、日本での納税義務がなくなり、大幅な節税が可能になります。非居住者の要件には明確な基準こそありませんが、①滞在日数②家族の場所③職業④資産の場所⑤生活の本拠地などを総合的に判断されます。
特に、現地での生活基盤をしっかり整えておくことが肝心です。安易にホテル暮らしをしていると、非居住者と認定されないリスクがあるので注意しましょう。
海外移住には税務面の課題だけでなく、生活環境の変化やビザの取得など、クリアすべき問題が多数あります。メリット・デメリットをよく理解したうえで、慎重に検討していくことが大切だと言えるでしょう。
海外移住や税務問題でお悩みの方は、ぜひ当事務所までご相談ください。海外の会計事務所、法律事務所等とも提携していることから、お客様に最適なソリューションをご提案いたします。
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