2024年05月14日

仮想通貨/暗号資産

個人事業主(フリーランス)必見!仮想通貨取引の確定申告を正しく行うためのポイント

この記事の監修者

村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

近年、仮想通貨取引が注目を集めており、個人事業主やフリーランスの方々の中にも、仮想通貨投資に興味を持つ人が増えています。しかし、仮想通貨取引に関する確定申告の方法や注意点について、十分に理解している人は多くありません。本記事では、個人事業主が仮想通貨取引の確定申告を正しく行うためのポイントを解説します。

なお、この記事において、個人事業主とフリーランスは同一であり、個人事業主=フリーランスという前提で読んでいただければと思います。

個人事業主の仮想通貨の留意点

利益20万円未満でも申告が必要

よく、「仮想通貨の年間の利益が20万円以下であれば確定申告が不要」といわれておりますが、個人事業主ではそれが通用しません。個人事業主が仮想通貨取引で得た利益は、たとえ20万円未満であっても、確定申告が必要です。

利益20万円以下は確定申告が不要、というのは、年末調整を実施済みの給与所得者にのみ適用可能な特例であり、個人事業主には通用しません。

個人事業主にとっては、原則1円以上の利益が出ているのであれば申告が必要なので留意が必要です。

仮想通貨取引の所得の種類

個人事業主が仮想通貨取引で得た所得は、原則として雑所得に区分されます。個人事業主の本業は事業所得に計上されますが、本業をやりつつ仮想通貨投資をされているのであれば、仮想通貨投資に係る部分は雑所得として計上することとなります。

なお、仮想通貨取引が事業として行われている場合は、事業所得として申告することができます。事業所得に該当するかどうかは、取引の頻度や規模、継続性などを総合的に判断します。仮想通貨を事業所得として計上するための詳細については下記をご参照ください。

ブログ「仮想通貨取引を事業所得で申告するメリットと要件

仮想通貨取引の経費になるもの

仮想通貨取引に関連する経費は、原則として必要経費として認められます。例えば、取引手数料、仮想通貨投資に係る通信費などです。これらは雑所得の仮想通貨投資に係る必要経費として計上できます。ただし、私的な目的で使用したパソコンや通信機器の費用は、必要経費として認められない場合があります。

なお、仮想通貨投資の経費の範囲については、下記の記事をご参照ください。

ブログ「【税理士監修】徹底解説!!仮想通貨の必要経費

確定申告の詳細

事業所得と一緒に仮想通貨を申告

個人事業主が仮想通貨取引で得た所得は、事業所得と一緒に確定申告します。具体的には、「青色申告決算書」を作成し、事業所得を入力します。その後、雑所得の入力にて「暗号資産」を選択し、仮想通貨取引に係る収入や必要経費を計上していくこととなります。

事業所得がマイナスなら仮想通貨のプラスと相殺可能

個人事業主の事業所得がマイナスになった場合、仮想通貨取引で生じた利益と損益を通算することができます。つまり、事業所得のマイナスを仮想通貨取引のプラスと相殺して、税負担を軽減することが可能です。

仮想通貨で赤字が出た場合は、他の所得と相殺できない、とは良く言われておりますが、事業所得が赤字の場合は、他の所得と相殺が可能になるため、事業所得の赤字と仮想通貨の黒字は相殺ができるのです。

ただし、事業所得が何年も続いて赤字の場合は留意が必要です。そもそも事業が何年も赤字続きというのは異常であるため、税務署に事業性を否定される可能性があります。

仮想通貨で売上代金をもらった場合

個人事業主が、本業の売上代金として仮想通貨を受け取った場合、その受け取り時点の仮想通貨の時価で売上高を計上する必要があります。さらに、その仮想通貨をすぐに利確したとしても、計上時の時価と利確時の時価は若干の差が生じることとなりますが、それは事業所得等の基因となる行為に付随したものとして事業所得として認識することが可能です。

国税庁の暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)にて、下記の記載からそのような処理が可能です。

なお、「暗号資産取引が事業所得等の基因となる行為に付随したものである場合」、例えば、 事業所得者が、事業用資産として暗号資産を保有し、棚卸資産等の購入の際の決済手段として 暗号資産を使用した場合は、事業所得に区分されます。

また、本業の収入は仮想通貨で受け取り、そのままその仮想通貨を投資として運用している場合、受け取り時の時価は事業所得に計上し、仮想通貨の運用益は雑所得として計上することとなります。

実務上、一つのウォレットアドレスや取引所アカウントで、複数の所得(事業所得と雑所得)が計上されている場合の損益計算は非常に難解です。

計算をやりやすくするためにも、取引所アカウントやウォレットアドレスを事業所得用とトレード用の2つに分けることを推奨します。

まとめ

個人事業主が仮想通貨取引を行う際は、確定申告の方法や注意点を理解することが重要です。利益が20万円未満でも申告が必要であること、事業所得と一緒に申告すること、事業所得がマイナスの場合は損益通算が可能であることなどを押さえておきましょう。また、仮想通貨を売上代金として受け取った場合の処理方法にも注意が必要です。

仮想通貨取引に関する税務は複雑であるため、専門家に相談することをおすすめします。適切な申告を行うことで、ペナルティを避け、円滑に事業を運営することができるでしょう。

 

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