仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2024年05月16日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
仮想通貨投資家にとって、ドバイ移住を夢見ている人は多いのではないでしょうか?ドバイは、個人所得税が無税であり、法人税も一定の条件を満たせば非課税となるなど、税制上のメリットが魅力的な国の一つです。しかし、課税リスクが一切ないわけではありません。本記事では、ドバイの税制メリットと留意点について解説します。
目次
ドバイは税制のメリットが非常に大きい国として有名です。具体的には下記のような税金のメリットがあります。
ドバイでは、個人所得税制度が設けられておらず、個人の所得に対する税金は無税となります。日本だと、個人で稼いだ利益を申告して納税する必要がありますが、ドバイではその必要がありません。もちろん、仮想通貨の利益も無税となっていますので、非常に魅力的です。
2023年6月より法人税が導入されましたが、法人税率はたったの9%です。日本の法人税率は概ね25%〜35%(利益800万円未満かそれ以上かによって変わる)であることを考えると、法人税率が1/3〜1/4程度になっているために、非常に魅力的です。
2018年1月より導入された付加価値税(VAT)の税率は5%と、日本の消費税率と比べて半分の税率になっており、付加価値税(消費税)の面でも優遇されていることとなります。
税制のメリットが多いドバイですが、正しく手続きを踏んでおかないと、ドバイに移住しているものの日本において課税されたりするリスクがあります。具体的には下記のような税金のリスクがあります。
ドバイに移住したものの、税法上の日本の居住者と認定されてしまえば、日本の税法に従い、日本に納税する必要があります。特に、ドバイと日本を行き来しながらビジネスを行う場合、日本税法上の「居住者」として取り扱われ、日本に課税となる可能性があるため、留意が必要です。
日本の非居住者と認められることが大事となります。
非居住者と認定されるための詳細については、下記の記事を参照ください。
記事「仮想通貨の海外移住 〜税法上の非居住者になるための要件とは〜」
ドバイに設立した法人が、ペーパーカンパニーなど事業実態に乏しい場合、日本において課税されるリスクがあります。外国子会社合算税制の適用を避けるために、ドバイ法人の事業実態を整える必要があります。具体的には事務所を構えたり、従業員を雇ったり、事務備品を購入するなどの行為を行い、ペーパーカンパニーではないことを主張する必要があります。
起業家がドバイに移住する際、保有する対象資産の含み益に対して国外転出時課税が課されるリスクがあります。これは、含み益が1億円以上ある資産は、その含み益を一度利確したものとして、出国時にその利確相当金額の税金部分を納税しなければならないという制度となっております。ただし、対象資産に仮想通貨は含まれていないために、仮想通貨はどんだけ含み益を抱えていようが、海外にそのまま持っていくことが可能となります。
また、ドバイ移住を考えている方は、以下のリスクも視野に入れておく必要があります。
ドバイで法人を設立し、事業を進めていく場合ですが、まずライセンスが必要になります。このライセンスは年間コストがかかるものであり、実質的には税金のような役割をしています。ドバイにおいては、事業の種類ごとにライセンスが必要になっており、ライセンスのない事業は行うことができません。ライセンスは毎年100万円程度かかることとなっております。
日本の仮想通貨取引所の一部は、「日本の居住者向けサービスなので、海外移住する際には口座を閉鎖してください」という注意がされております。海外に移住したあとも日本の仮想通貨取引所を継続的に利用できるかどうかを、事前に確認しておくことを推奨します。
ドバイの税制メリットは魅力的ですが、税金のリスクも存在します。ドバイ法人設立やドバイ移住を検討する際は、適切なタックスプランニングと専門家の支援が不可欠です。メリットとリスクを十分に理解し、慎重に判断していくことを推奨します。
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