仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2025年07月2日
仮想通貨/暗号資産
この記事の監修者
村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
「仮想通貨を持ったまま海外移住したら税金かからないのでは?」
そう思っている方は要注意です。
近年、「出国税”が仮想通貨にも課税される可能性」が出てきました。
これまで対象外だった仮想通貨が、2025年以降の税制改正で大きな転換点を迎えようとしています。
この記事では、税理士の視点から「仮想通貨×出国税」について、最新情報とともにわかりやすく解説します。
目次
まずは出国税(国外転出時課税制度)を解説します。
出国税とは、1億円以上の有価証券やデリバティブなどを保有した人が海外に移住する際、含み益に課税される制度です。
たとえば、まだ売っていない株式を1億円以上保有していて、それに含み益があれば、日本を出国した時点で「いったん売却したもの」とみなされ、含み益に対して課税されます。
この制度は、「富裕層の資産逃避を防ぐ」ための重要なルールとして機能しています。
注目すべきは、仮想通貨(暗号資産)は出国税の対象外という点です。
つまり、たとえ1億円以上のビットコインを保有していても、それを売却せずに海外に移住するだけなら、出国税はかかりませんでした。
これが、富裕層やクリプト投資家の間で「海外移住で税金ゼロ」という噂が出る理由のひとつです。
しかし、そんな状況がいま大きく変わろうとしているのです。
2024年末〜2025年にかけて、仮想通貨(暗号資産)を「金融商品」として扱う動きが本格化しています。
このような流れが進めば、仮想通貨は株や投資信託と同じように金融商品として分類される可能性が高い。
そしてこれは、出国税の「対象資産」に加わることを意味します。
執筆時点(2025年6月)において、仮想通貨の出国税がいつから適用されるかは明確になっていません。
直近の動向を見るに、2026年中の国会承認を目指す、という記事もあるので、2026年国会承認で、2027年から仮想通貨(暗号資産)が金融商品に分類され、同時に出国税の対象になると、私は予想しています。
また、実際には上記よりも早い段階で出国税の適用がされる可能性があります。
つまり、海外移住を検討している方は、いち早く移住のための準備をしておかないと、仮想通貨の含み益に多くの税金が課税されてしまい、海外移住がうまく進まない可能性があります。
では、仮想通貨に出国税が課される未来に備えるには、どうすればよいのでしょうか?
今からできる現実的な対策を3つ挙げます。
金融商品化や出国税の改正は、いつ適用されるかが現状未定です。金融庁や税制調査会の発表を定期的にチェックしましょう。
状況によっては、出国前に一部売却して実現益を確定し、課税タイミングを調整するという手もあります。
仮想通貨に詳しい税理士に「移住前の資産整理」や「国際税務」について相談することで、具体的な出国のための整理をしておくのが良いでしょう。
仮想通貨はこれまで出国税の対象外だったため、
「海外移住すれば税金ゼロで資産逃避できる」
という話も一部では語られてきました。
しかし今後は、その前提が根底から覆る可能性があります。
仮想通貨が非課税の国に移住することにより、仮想通貨の税金を大きく下げることができます。
海外移住を検討している方は、仮想通貨に出国税が適用される前に、いち早く海外移住の準備を進めていきましょう。
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