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村上裕一公認会計士事務所MURAKAMI CPA OFFICE 見積相談

2026年08月27日

仮想通貨/暗号資産

【仮想通貨の評価方法】総平均法 vs 移動平均法|違いと選び方を税理士が徹底解説!

この記事の執筆・監修者

公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

この記事のポイント

暗号資産の損益計算で評価方法を選ぶ必要がある方へ、結論をお伝えします。個人投資家は届け出不要の総平均法が原則で、法人は移動平均法が原則として適用されます。総平均法は1年間の取得金額の平均で単価を算出するためシンプルですが年末まで損益が確定しない点に注意が必要です。移動平均法は取得のたびに単価を更新するため精度が高い反面、計算が煩雑になります。一度選択した評価方法を変更するには税務署長の承認が必要で、実務上は3年程度は変更できないとみられるため、慎重に選ぶことが重要です。長期的なトータル損益はどちらも同じになります。

  • 個人投資家は届け出不要の総平均法が原則、法人は移動平均法が原則として適用される。
  • 評価方法の変更には税務署長の承認が必要で、実務上は3年程度は変更できないとみられるため、事前のシミュレーションが重要。
  • 最初に評価方法を選ぶ届出は取得した年の確定申告期限まで。その後の変更は承認申請が必要になる。
  • 銘柄ごとに評価方法を分けることは可能だが、損益計算ツールが対応していない場合があるので確認が必要。
  • 総平均法と移動平均法のトータル損益は長期的には同じになるが、年度ごとの損益には差が生じる。
監修
村上裕一(公認会計士・税理士)
最終更新
2026-05-15
対象年度
令和7年(2025年)

仮想通貨の損益計算で「総平均法と移動平均法って何が違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?

本記事では、評価方法としての総平均法と移動平均法の違いや、それぞれの計算例、注意点、実務での選び方について、税理士が分かりやすく解説していきます。

仮想通貨の損益計算の基本

仮想通貨で利益が出るのは、基本的に売却やスワップなどを行ったときです。
計算式としては以下のとおり。

利益 = 売却額 − 取得価額(取得単価)

この「取得価額(取得単価)」の算出方法として、「総平均法」か「移動平均法」のいずれかを選ぶ必要があります。

評価方法の違い|総平均法と移動平均法

仮想通貨の評価方法として認められている総平均法と移動平均法の概要と特徴は下記のとおりです。

評価方法

概要

特徴

総平均法

1年間の取得金額と数量の平均で評価

個人の原則方式。シンプルで管理しやすい

移動平均法

取得の都度、単価を更新

法人の原則方式。精度は高いがやや複雑

また、計算方法別のメリットとデメリットは下記のとおりです。

評価方法

メリット

デメリット

総平均法

計算がシンプル

年末になるまで損益が確定しない

移動平均法

取引の都度計算が必要であり、計算が煩雑になりやすい

取引の都度、損益が確定するため、期中での損益把握ができる

実例で計算

以下のようなBTC取引の例で、評価額と利益を比較してみましょう。

【事例】

  1. 1月:BTCを100万円で1枚購入

  2. 3月:BTCを200万円で1枚購入

  3. 5月:BTCを250万円で1枚売却

  4. 11月:BTCを300万円で1枚購入

総平均法での計算

  • 年間購入額:100 + 200 + 300 = 600万円

  • 年間購入枚数:3枚

  • 評価額(平均単価):600 ÷ 3 = 200万円

→ 5月の売却益:250万 − 200万 = 50万円

移動平均法での計算

  • 1月購入後:単価100万

  • 3月購入後:合計300万 ÷ 2枚 = 単価150万

  • 5月売却益:250万 − 150万 = 100万円

  • 11月購入後:150万 + 300万 = 合計450万 ÷ 2枚 = 単価225万

総平均法と移動平均法での計算の違い

上記が、総平均法と移動平均法の計算方法の違いによる影響額となります。

総平均法においては、1年間の購入合計で計算するために、11月などの年末付近に高い価格で購入することで、期中の利益を押し下げることが可能となります。

対して、移動平均法は期中で損益が確定するために、今回の事例のケースにおいては、総平均法よりも高い利益が計算されることとなりました。

評価方法の注意点4つ

総平均法と移動平均法の適用に関しては、税務上で留意する事項が主に4つ存在しています。

① 個人は「総平均法」、法人は「移動平均法」が原則

事前に税務署に届け出をしていない場合、個人は総平均法が適用されますし、法人は移動平均法が適用されることとなります。

② 届け出すれば逆の方式も選べる

個人でも「移動平均法」、法人でも「総平均法」が選択可能です。申告期限までに税務署に届出書を提出する必要があります。

③ 変更には税務署長の承認が必要(実務上3年程度は変更不可とみられる)

一度選択した評価方法を変更するには、納税地の所轄税務署長の承認が必要です(所得税法施行令119条の4)。条文上「3年間は変更不可」と定められているわけではなく、採用してから相当期間を経過していない場合などに申請が却下されうる、という建て付けです。実務上は3年程度は変更できないとみられるため、途中で気軽に変えられる前提では考えず、慎重に選びましょう。

④ コインごとに評価方法を分けられる(がツールに注意)

たとえば「BTCは移動平均」「ETHは総平均」とすることも可能です。ですが、損益計算ツールによってはコインごとに評価方法を変えるという設定ができないことがあるので注意が必要です。

結局どっちがいいの?総平均法 vs 移動平均法

トータル損益は同じ

長期的に見れば、どちらを使っても最終的な総損益は同じになります。

つまり、投資開始年度から投資の終了年度までのトータル損益は、総平均法でも移動平均法でも同じ計算結果となります。

年度単位では差が出る

長期的にはトータル損益は同じではありますが、総平均法と移動平均法によっては、年度ごとの損益が異なる場合があります。

実際はどちらが良い?

  • 個人投資家:総平均法が無難(届け出不要でシンプル)

  • 法人:移動平均法が基本(税務上の原則のため)

理想としては、状況に応じてシミュレーションできればベストですが、仮想通貨の損益計算は膨大な時間がかかります。確定申告の〆切(3月15日)に間に合わなくなるリスクもあるため、「原則通り」で進めるのが安全策です。

評価方法を決めたあと、実際に所得金額から納税額までを計算する手順は仮想通貨の税金の計算方法にまとめています。

まとめ

  • 仮想通貨の損益計算の方法には、「総平均法」と「移動平均法」の2種類が存在する
  • 個人では総平均法、法人では移動平均法が原則として適用される
  • 事前に税務署に届け出をすることによって、変更が可能なものの、3年間は変更ができないので留意
  • コインの種類ごとに評価方法を選定することが可能だが、損益計算ツールが対応していないことが多いので留意
  • 総平均法でも移動平均法でも、トータルの損益(投資開始年度から投資終了年度まで)は同じであるものの、年度ごとの損益は差が出る

 

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