2025年10月20日

仮想通貨/暗号資産

仮想通貨を長期保有して節税する方法とは?売らずに守る税金対策ガイド

この記事の監修者

村上裕一公認会計事務所/代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

「仮想通貨を長期に保有していますが、何か節税方法はありますか?」という質問をよく受けます。

税金の観点では、「売らなければ課税されない」(個人の場合)という点に着目し、長期保有で節税戦略として活用する動きが広がっています。
この記事では、仮想通貨を長期保有した際の税金の仕組みと、合法的に節税を実現する方法を詳しく解説します。

仮想通貨の課税ルールの基本を理解する

仮想通貨の所得区分と課税タイミング

仮想通貨取引による利益は、原則として雑所得(総合課税)として扱われます。
つまり、給与などの他の所得と合算され、累進税率(最大55%)が適用されます。

課税が発生するのは主に以下のタイミングです。

  • 仮想通貨を売却したとき
  • 仮想通貨で他の通貨・NFTなどを購入したとき
  • 仮想通貨で商品・サービスを支払ったとき
  • ステーキング報酬やエアドロップを受け取ったとき

逆に言えば、ただ保有しているだけでは課税されません。
この「含み益は課税されない」という点こそが、長期保有戦略の最大の節税メリットです。

長期保有による節税メリット

① 含み益への課税繰延効果

仮想通貨の価値が上昇しても、売却しなければその利益は税金の対象外です。
課税対象にはならず、税金の支払いを将来に繰り延べることができます。

そのため、所得が低い年や、仮想通貨以外の雑所得で損失がある年に売却することで、総合的な所得を下げることができ、税率を下げることが可能です。

② 少しずつ利確して税率を下げる

仮想通貨の利益は、総合課税の対象となっているために、利益が多ければ多いほど税率が高いという仕組みになっています。

そのため、複数年にわたって、利益を少しずつ出していくことにより、税金を下げることが可能です。

詳細は、下記の記事をご参照ください。

記事「仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット

③ 税制改正を待つ

「暗号資産(仮想通貨)の分離課税」導入が有力視されています。分離課税とは、株式と同じで税率20.315%固定になることであり、分離課税導入により、現在の総合課税(最大55%)から大きく税率が下がる可能性があります。
今、売って課税されるより、「分離課税化を待つ」戦略も検討の価値ありです。

長期保有の注意点とリスク

① 価格下落のリスク

「税金を先送りするために売らない」戦略は有効ですが、価格下落時には含み益が消えるリスクがあります。特に仮想通貨はボラティリティ(価格の変動性)が高い資産であり、今年は含み益が出ているものの、次年度以降にその含み益が大きく減る可能性があります。

② 相続税のリスク

仮想通貨は相続時に時価で評価され課税されます。

仮想通貨の相続は、相続税および所得税・住民税がダブルで課税されるために、最大税率110%になってしまいます。

詳細は下記の記事をご参照ください。

記事「仮想通貨を相続すると最大税率110%って本当!?税理士が解説します

③ 出国税のリスク

出国税とは、1億円以上の有価証券やデリバティブなどを保有した人が海外に移住する際、含み益に課税される制度です。

現在、仮想通貨には、出国税が課税されません。

ですが、仮想通貨の税制改正に伴い、仮想通貨に出国税が課税される可能性が出ています。

詳細は、下記の記事をご参照ください。

記事「【2025年最新】仮想通貨にも「出国税」が!? 海外移住で大損する前に知っておくべき税制の動きとは

長期保有で使える節税テクニック2選

① 海外移住・非居住者化による課税逃れ

シンガポールやドバイなど、仮想通貨の税金が非課税の国も存在します。
ただし、日本の居住者判定(生活拠点・家族の居住地など)を誤ると、「国外に移住しても日本で課税」されるリスクがあります。
非居住者の要件を満たすかどうか、事前に専門家に相談することを推奨します。

非居住者の要件については、下記の記事をご参照ください。

記事「仮想通貨投資家必見!海外移住で税務上の非居住者になって節税しよう

② 担保ローン戦略(売らずに資金化)

仮想通貨を売却せずに、担保として融資を受ける方法として暗号資産担保ローンがあります。
これなら含み益に課税されず、税金が発生せずに、資金を手に入れることができます。
暗号資産担保ローンを活用している際には、利息が発生するのですが、利息以上の運用が得られるのであれば、実質的に暗号資産担保ローンをマイナス金利で借りることができ、運用益を享受することができます。

詳細は、下記の記事をご参照ください。

記事「【税理士監修】仮想通貨担保ローンとは?仕組み・メリット・税金リスクを徹底解説

今後の税制改正の動向について

金融庁は2025年度以降、仮想通貨を「金融商品」として扱う方向で検討しています。
これにより、暗号資産(仮想通貨)の分離課税・赤字繰越、また暗号資産ETFの導入が進む可能性があります。
ただし、1点留意しなければならないのは、「どこまでが分離課税になるか?」という点です。2025年10月時点、どこまでが分離課税になるかは明確に決まっておりません。

・海外の仮想通貨取引所の資産も分離課税の対象になるのか?

・ウォレット(DEX)の資産も分離課税の対象になるのか?

・過去から保有している仮想通貨にも分離課税が適用されるのか?

については、現状未定となっております。

まとめ:長期保有による節税

  • 売らなければ課税されない=売却タイミングや売却額を調整することによる節税が可能
  • 毎年少しずつ売却する=総合課税が採用されているため、税率を下げることができる
  • 税制改正を待つ=税制改正の動向によっては、分離課税の恩恵が得られるかも

ただし、長期保有は、価格下落や相続税などのリスクがあります。

また、仮想通貨の税制改正については、現状ではどの範囲まで(取引所やDEX、過去の含み益は対象になるか?など)が対象になるかが明確に決まっていません。

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