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村上裕一公認会計士事務所MURAKAMI CPA OFFICE 見積相談

2026年10月16日

仮想通貨/暗号資産

仮想通貨の利益があると医療費控除はどうなる?足切り「10万円か所得の5%」の計算とセルフメディケーション税制の選び方【2026年分】

この記事の執筆・監修者

公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

「仮想通貨で利益が出た年も、医療費控除は使えますか」というご質問をよくいただきます。結論から言うと、使えます。暗号資産(仮想通貨)の利益があっても、医療費控除の対象になる医療費や計算方法は変わりません。

ただし、利益が増えると、医療費控除の「足切り」の金額が上がる場合があります。足切りは「10万円」と「総所得金額等の5%」の少ない方なので、総所得金額等が200万円未満の人は影響を受けます。この記事では、2026年分を前提に、足切りの計算、申告するときの注意点、セルフメディケーション税制との選び方の3つに絞って整理します。確定申告の手順そのものは仮想通貨の確定申告のやり方をご覧ください。


仮想通貨の利益があっても医療費控除は使える|控除額の計算式

医療費控除は、本人や生計を一にする家族のために、その年に支払った医療費が一定額を超えたときに受けられる所得控除です(所得税法73条)。控除額は次の式で計算します。

医療費控除の額 = 支払った医療費 - 保険金などで補てんされる金額 - 足切り額(10万円か総所得金額等の5%の少ない方) ※マイナスなら0円・上限200万円

「総所得金額等」は、収入や課税所得ではなく、給与所得・雑所得などの所得金額(損失との差し引き後)に、退職所得や申告分離課税の所得などを加えた金額です。仮想通貨の利益は、2026年分では原則として雑所得(総合課税)なので、利益が増えると足切り額の計算に影響します。

足切りは「10万円か所得の5%」|利益で変わるのは総所得金額等200万円未満の人

足切り額は、総所得金額等の5%と10万円を比べて、少ない方です。5%が10万円になるのは総所得金額等が200万円のときなので、次のように分かれます。

総所得金額等 足切り額 仮想通貨の利益の影響
200万円未満 総所得金額等 × 5% 利益が増えるほど足切り額が上がる
200万円以上 10万円 足切り額は変わらない

利益を加える前の総所得金額等が200万円以上なら、もともと足切り額が10万円なので、仮想通貨の利益が増えても足切り額は変わりません。影響が出やすいのは、年金で生活している人、パートで働く人、収入の少ない年の個人事業主などです。

たとえば、年金の雑所得(公的年金等控除後)が120万円で、医療費を15万円支払った人の場合は次のとおりです。ほかの所得や損失、保険金などの補てんはないものとします。

仮想通貨の利益 総所得金額等 足切り額 医療費控除の額
なし 120万円 6万円 9万円
50万円 170万円 8.5万円 6.5万円
100万円 220万円 10万円 5万円

利益が出た年は、同じ医療費でも医療費控除の額が小さくなることがあります。医療費が足切り額以下になれば、控除額は0円です。

利益を申告する年は医療費控除も一緒に申告する

医療費控除は、年末調整では受けられず、確定申告で受ける控除です。仮想通貨の利益で確定申告をする年は、医療費控除も同じ申告書に入れましょう。確定申告をすれば住民税の申告も済んだ扱いになり、医療費控除は住民税の計算にも反映されます。

反対に、会社員の「給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら確定申告は不要」というルール(給与収入2,000万円以下で年末調整を受けている人など)で申告しないつもりだった人も、医療費控除を受けるために確定申告をするなら、20万円以下の仮想通貨の利益も含めて申告します。利益を申告して増える税金と、医療費控除で減る税金を比べてから決めましょう。年金を受け取っている人の判定は年金受給者の仮想通貨と確定申告で解説しています。

申告には「医療費控除の明細書」を添付します。領収書は提出しませんが、確定申告期限から5年間は手元に保管します。要件を満たす医療費通知(健康保険組合などから届く医療費のお知らせ)を添付すれば、その通知に載っている医療費は明細の記入を簡略化できます。

セルフメディケーション税制とどちらを選ぶか

セルフメディケーション税制は、対象の市販薬(スイッチOTC医薬品など)の購入費が12,000円を超えた部分を控除できる特例です(租税特別措置法41条の17)。控除の上限は88,000円です。控除を受ける本人が、その年に勤務先の定期健康診断や予防接種など、決められた取組を行っていることが条件です。

通常の医療費控除 セルフメディケーション税制
対象 病院の治療費・薬代など 対象の市販薬の購入費
足切り 10万円か総所得金額等の5% 12,000円(所得に関係なし)
上限 200万円 88,000円

同じ人が同じ年に2つの制度を併用することはできず、どちらかを選びます。申告した後に、もう一方へ切り替えることもできません。セルフメディケーション税制の足切りは12,000円で固定なので、仮想通貨の利益が増えても変わりません。利益で通常の医療費控除の足切り額が上がった年は、両方で計算して、控除額が大きい方を選びましょう。確定申告書等作成コーナーでは、両方の金額を入れて比べられます。

よくある質問

Q. 仮想通貨の利益が20万円以下でも、医療費控除を受けるなら申告が必要ですか?
A. 必要です。会社員などは、給与所得・退職所得以外の所得が20万円以下なら確定申告をしなくてよいことになっていますが、これは確定申告をしない場合のルールです。医療費控除を受けるために確定申告をするなら、20万円以下の仮想通貨の利益も申告書に含めます。年金を受け取っている人も同じです。

Q. 仮想通貨で損失が出た年は、足切り額が下がりますか?
A. 仮想通貨の損失は、年金の雑所得など、総合課税の他の雑所得と差し引きします。その結果、総所得金額等が200万円未満になれば、足切り額も下がります。ただし、雑所得の中で引ききれない損失を給与所得などから引くことはできず、国内FXなど申告分離課税の所得とも差し引きできません。

Q. 家族の医療費も合算できますか?
A. 生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費は、合算できます。控除を受けるのは、実際に医療費を支払った人です。家族がそれぞれ支払った医療費を、好きな1人にまとめて申告することはできません。

Q. 仮想通貨の利益が出たのは2026年ですが、医療費を払ったのは2025年です。2025年分で医療費控除を受けられますか?
A. 医療費控除は、医療費を支払った年の分で受けます。2025年分の医療費は2025年分の申告で控除します。確定申告の義務がなかった人は、2026年1月1日から5年間、還付申告ができます。すでに2025年分を申告している人は、更正の請求で直します。

本記事は2026年分(現行の総合課税の雑所得)が前提です。特定暗号資産の申告分離課税の適用開始は金融商品取引法等の改正法の施行時期と連動し、2027年分以降は施行政令しだいです。申告分離課税の所得も一般に総所得金額等に含まれるため、分離課税になっても足切りの計算から外れるとは限りません。

まとめ|利益が出た年は足切り額を計算し直す

  • 仮想通貨の利益があっても、医療費控除は使える
  • 足切り額は10万円か総所得金額等の5%の少ない方。総所得金額等200万円未満の人は、利益が増えると足切り額が上がる
  • 利益を申告する年は、医療費控除も同じ申告書に入れる。医療費控除のために申告するなら、20万円以下の利益も含める
  • セルフメディケーション税制の足切りは12,000円で固定。両方計算して大きい方を選ぶ

ふるさと納税との関係は仮想通貨の利益とふるさと納税、申告書の作り方は仮想通貨の確定申告のやり方にまとめています。

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この記事を書いた人

村上 裕一(むらかみ ゆういち)|公認会計士・税理士
村上裕一公認会計士事務所 所長。暗号資産(仮想通貨)の税務を専門とし、個人の確定申告から法人化・税務調査対応まで、暗号資産に特化した税務サポートを提供している。EY新日本有限責任監査法人出身。YouTube・Xで暗号資産の税金情報を発信中。


監修・免責事項

本記事は2026年10月時点の所得税法(35条2項・73条・121条)、租税特別措置法(41条の17)、国税庁タックスアンサーNo.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」・No.1129「特定の医薬品購入額を支払ったとき(医療費控除の特例)」・No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」、国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。

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