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村上裕一公認会計士事務所MURAKAMI CPA OFFICE 見積相談

2026年10月7日

仮想通貨/暗号資産

年金受給者の仮想通貨は確定申告が必要?年金400万円以下・年金以外の所得20万円以下の判定と住民税の申告【2026年分】

この記事の執筆・監修者

公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

「年金暮らしで、仮想通貨で少し利益が出ました。確定申告は必要ですか」というご質問は、毎年のようにいただきます。公的年金の収入が400万円以下で、暗号資産(仮想通貨)の利益など年金以外の所得の合計が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税の申告は原則として別に必要です。

また、医療費控除などで税金を取り戻したい人は、20万円以下の利益も含めて申告することになります。この記事では、老齢年金などを受け取っている人を対象に、2026年分の判定、住民税の申告、還付申告をするときの注意点の3つに絞って整理します。確定申告の手順そのものは仮想通貨の確定申告のやり方をご覧ください。


年金受給者の仮想通貨は確定申告が必要?|判定は「年金400万円以下」と「年金以外の所得20万円以下」

公的年金を受け取っている人には、確定申告不要制度があります(所得税法121条3項)。公的年金等が源泉徴収の対象になっている人は、次の2つを両方満たせば、所得税の確定申告をしなくてかまいません。

  1. 公的年金等の収入金額(額面)が400万円以下
  2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額の合計が20万円以下
仮想通貨などの所得がある場合 所得税の確定申告 住民税の申告
年金400万円以下・年金以外の所得20万円以下 不要(年金の申告不要制度) 確定申告をしないなら原則必要
年金400万円以下・年金以外の所得20万円超 年金の申告不要制度の対象外。所得と控除から申告義務を判定 確定申告をすれば別に出す必要はない。しないなら原則必要
年金400万円超 年金の申告不要制度の対象外。所得と控除から申告義務を判定 確定申告をすれば別に出す必要はない。しないなら原則必要

公的年金等には、老齢基礎年金・老齢厚生年金のほか、確定給付企業年金なども含みます。遺族年金や障害年金は非課税なので、400万円の判定には入りません。外国の年金のように日本で源泉徴収の対象にならない公的年金を受け取っている人は、この制度を使えません。

「20万円」は売却額ではなく利益で判定する|他の所得と合計する

20万円は売却や交換で受け取った金額ではなく、利益(所得金額)です。仮想通貨の取引による所得は、所得税法上原則として雑所得に区分されます(事業として継続的・組織的に行う場合は個別判断)。

仮想通貨の利益 = 売却・交換・決済した時の価額 - 売却・交換・決済に使った分の取得価額 - その他の必要経費

判定では、仮想通貨の利益だけでなく、年金以外の所得を合計します。たとえば仮想通貨の利益が12万円でも、自分で保険料を負担した個人年金の雑所得(その年に受け取った年金から、その年金に対応する払込保険料を引いた金額)が10万円あれば、合計22万円で申告不要制度の対象外です。パートの給与所得や不動産所得も合算します。

ステーキング報酬は、受け取った時の時価が収入になります。一方、保有しているだけの含み益は、個人には課税されないので入りません。

確定申告が不要でも住民税の申告は原則必要

所得税の確定申告が不要になっても、住民税には同じ「20万円以下なら不要」というルールがありません。公的年金以外の所得がある人は、原則として翌年3月15日までに、翌年1月1日に住んでいる市区町村へ住民税の申告をします(地方税法317条の2)。確定申告書を提出した人は、住民税の申告も済んだ扱いになります(地方税法317条の3)。

住民税の申告を忘れると、仮想通貨の利益が住民税に反映されないまま、後から市区町村から問い合わせが来ることがあります。利益が20万円以下だった年も、申告は忘れずにしておきましょう。手続きの流れは年末調整と住民税の申告で解説しています。

医療費控除などで還付を受けたいときは20万円以下の利益も申告する

年金から源泉徴収された所得税は、医療費控除や社会保険料控除などを使えば、確定申告で一部が戻ってくる場合があります。確定申告不要制度の対象の人も、還付を受けるための申告はできます。

ただし、確定申告をする場合は、申告不要制度を理由に20万円以下の仮想通貨の利益だけを省くことはできません。利益を含めると所得税が増えるので、控除で戻る税金より増える税金が多くなることもあります。申告するかどうかは、次の順番で判断しましょう。

  1. 年金の源泉徴収票で、源泉徴収された所得税の額を確認する
  2. 年金・個人年金・仮想通貨など申告に含めるすべての所得と、源泉徴収税額、医療費控除などの控除を入れて、確定申告書等作成コーナーで還付額か納付額を計算する
  3. 還付になるなら申告する。還付にならず、申告を要件とする特例なども使わないなら、所得税の確定申告はしない選択もできる。その場合も住民税の申告は原則必要

確定申告をしない場合も、住民税の申告に仮想通貨の利益と医療費控除を書けば、住民税が軽くなる場合があります。申告不要の範囲の一般的な考え方は、確定申告をしなくていい人の金額と条件にまとめています。

よくある質問

Q. 仮想通貨で利益が出ると、年金が減らされますか?
A. 老齢基礎年金・老齢厚生年金そのものが、仮想通貨の利益を理由に減ることはありません。働きながら受け取る人の在職老齢年金も、年金額と給与・賞与の額で調整する仕組みで、仮想通貨の利益は入りません。ただし、利益は住民税の所得に入るので、国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料、介護保険料、医療費の窓口負担割合、年金生活者支援給付金に影響する場合があります。

Q. 年金の源泉徴収票はどこにありますか?
A. 日本年金機構などの年金の支払者から、通常は翌年1月ごろに「公的年金等の源泉徴収票」が届きます。電子送付を選んでいる人はマイナポータルも確認しましょう。

Q. 年金とパートの給与があり、仮想通貨の利益が10万円です。会社員の20万円ルールで判定すればよいですか?
A. 給与と年金の両方がある人は、年金の申告不要制度と給与所得者の申告不要制度のそれぞれの要件を確認します。年金側では給与所得と仮想通貨の利益など、給与側では年金の所得と仮想通貨の利益などを合計して、20万円以下かを見ます。20万円のほかにも、年金側は収入400万円以下、給与側は給与収入2,000万円以下や給与の支払先の数などの要件があります。どちらかの制度の要件をすべて満たせば、所得税の確定申告は不要です。会社員の判定は会社員の20万円ルールで解説しています。

Q. 仮想通貨で損失が出た年は、年金と相殺できますか?
A. できます。2026年分の仮想通貨の取引で売却などにより確定した損失は、雑所得の計算の中で差し引くので、公的年金等控除後の年金の雑所得とも相殺できます(所得税法35条2項)。年金から源泉徴収された所得税が、確定申告で戻る場合もあります。ただし、雑所得の中で引ききれない損失を給与所得などから引いたり、翌年に繰り越したりすることはできません。

本記事は2026年分(現行の総合課税の雑所得)が前提です。特定暗号資産の申告分離課税の適用開始は金融商品取引法等の改正法の施行時期と連動し、2027年分以降は施行政令しだいです。分離課税の対象になると、損失の扱いなども変わります。

まとめ|年金受給者は「申告不要でも住民税の申告」を忘れずに

  • 年金の収入400万円以下、年金以外の所得20万円以下なら、所得税の確定申告は不要
  • 20万円は売却額ではなく利益。個人年金やパートの給与などと合計して判定する
  • 確定申告をしない年も、住民税の申告は原則必要
  • 医療費控除などで還付申告をするなら、20万円以下の利益も含める。還付になるか計算してから決める
  • 仮想通貨の損失は、年金の雑所得と相殺できる

申告書の作り方と必要書類は仮想通貨の確定申告のやり方にまとめています。

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この記事を書いた人

村上 裕一(むらかみ ゆういち)|公認会計士・税理士
村上裕一公認会計士事務所 所長。暗号資産(仮想通貨)の税務を専門とし、個人の確定申告から法人化・税務調査対応まで、暗号資産に特化した税務サポートを提供している。EY新日本有限責任監査法人出身。YouTube・Xで暗号資産の税金情報を発信中。


監修・免責事項

本記事は2026年10月時点の所得税法(35条2項・69条・120条・121条・122条)、地方税法(317条の2・317条の3)、国税庁タックスアンサーNo.1600「公的年金等の課税関係」・No.1500「雑所得」・No.1610「保険契約者(保険料の負担者)である本人が支払を受ける個人年金」・No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」、国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」、国税庁 確定申告書等作成コーナー「公的年金等に係る申告不要制度について」、日本年金機構「在職中の年金(在職老齢年金制度)」に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。

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