仮想通貨を少しずつ利確する際の税金の計算方法とメリット・デメリット
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
2026年09月20日
仮想通貨/暗号資産
この記事の執筆・監修者
公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。
「取引はぜんぶスマホのアプリでやっているのに、確定申告だけパソコンが必要なの?」という質問をよくいただきます。答えははっきりしています。マイナンバーカードとスマホがあれば、暗号資産(仮想通貨)の確定申告はスマホだけで完結します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で申告書を作り、そのままe-Taxで送信すれば、税務署に行く必要も、書類を印刷して郵送する必要もありません。
この記事では、スマホで仮想通貨の確定申告をするための準備と、e-Taxで送信するまでの操作手順、実際につまずきやすいポイントを解説します。そもそも申告が必要かどうかの判定(20万円ルール)は会社員の確定申告と20万円ルールを、確定申告全体の流れは仮想通貨の確定申告ガイドをご覧ください。
目次
国税庁の確定申告書等作成コーナーはスマホ画面に対応しており、給与所得と仮想通貨の雑所得の組み合わせなら、入力から送信までスマホで問題なく完了できます。全体の流れは次の3段階です。
2026年(令和8年)分の申告期間は2027年2月16日(火)から3月15日(月)までです。作成コーナーの画面や機能は毎年1月に更新されるため、細かい画面表示は変わることがありますが、大きな流れは本記事のとおりです。
先に手元に揃えておくと、入力作業は30分〜1時間程度で終わります。
| 必要なもの | 内容 |
|---|---|
| マイナンバーカード | 発行時に設定した2つのパスワード(利用者証明用=数字4桁、署名用=英数字6〜16文字)も必要です |
| スマホ | マイナンバーカードの読み取りに対応した機種。Androidの「スマホ用電子証明書」やiPhoneのマイナンバーカード機能を設定済みなら、カードの読み取り自体が不要になります |
| 源泉徴収票(会社員の方) | 勤務先から年末〜1月に交付されます |
| 仮想通貨の損益計算の結果 | 各取引所の年間取引報告書・取引履歴から計算した年間の収入・必要経費・所得の金額 |
マイナンバーカードを持っていない方は、税務署で発行するID・パスワード方式という暫定的な方法もありますが、これから作るならマイナンバーカードを取得しておくのが良いです。
ここが仮想通貨のスマホ申告でいちばん誤解が多いところです。作成コーナーは、仮想通貨の損益を計算してくれません。画面に入力するのは、計算が終わったあとの「収入金額」と「必要経費」の数字です。
証券会社の特定口座であれば、マイナポータル連携で年間取引報告書のデータが自動入力されます。しかし仮想通貨の取引データはマイナポータル連携の自動入力の対象外です。株の申告と同じ感覚で進めると、仮想通貨の欄だけ数字が入らず手が止まります。
損益計算は、各取引所からダウンロードした年間取引報告書と取引履歴をもとに、原則として総平均法で行います。国税庁が公表している「暗号資産の計算書」(Excel)に年間取引報告書の数字を転記すれば計算できるほか、取引所や通貨の数が多い場合は損益計算ツールを使うのが現実的です。取引所が1つで現物の売買だけなら自力でも十分計算できます。
損益がプラスでも、給与以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です(住民税の申告は別途必要です)。判定に迷う方は先に会社員の確定申告と20万円ルールで確認してください。
損益計算が終わったら、あとは画面の案内に沿って進めるだけです。順番に見てみましょう。
スマホのブラウザで国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を開き、「作成開始」からスマートフォンを使用してe-Taxを選びます。マイナポータルアプリを使ってマイナンバーカードを読み取り(またはスマホ用電子証明書で認証し)、利用者証明用のパスワード(数字4桁)を入力します。
マイナポータル連携を設定していれば、勤務先が対応している場合に給与のデータが自動で取り込まれます。自動入力されない場合も、源泉徴収票をカメラで読み取る機能や、記載欄を見ながらの手入力で対応できます。年末調整済みの会社員なら、転記するのは支払金額・源泉徴収税額など数か所です。
作成コーナーに「仮想通貨」という専用メニューはありません。入力先は「雑所得(その他)」です。
なお、仮想通貨の所得は所得税法上原則として雑所得に区分され、給与と合算して税率が決まる総合課税です(事業として継続的・組織的に行う場合は個別判断です)。税率の仕組みは仮想通貨の税金ガイドで確認できます。
会社に副収入を知られたくない方は、住民税の徴収方法で「自分で納付」(普通徴収)を選択してください。ここを見落とすと、給与天引きの住民税額の変化で経理担当者が気づく可能性があります。仕組みの詳細は仮想通貨の税金はバレない?で解説しています。
署名用パスワード(英数字6〜16文字)で電子署名をしてe-Tax送信すれば申告は完了です。送信後の受付結果(受信通知)と申告書のPDFは必ずスマホに保存してください。納付もスマホで完結でき、スマホアプリ納付・クレジットカード納付・口座振替(振替納税)などが選べます。納付期限も申告期限と同じ2027年3月15日(月)です(振替納税は引落日が別途設定されます)。
実際のご相談で耳にするつまずきどころを挙げてみましょう。
①パスワードのロック。 署名用パスワードは連続で間違えるとロックされ、市区町村の窓口やコンビニ端末での再設定が必要になります。期限直前の夜にロックしてしまい申告が止まる、というのは毎年本当にある話です。パスワードは早めに確認しておきましょう。
②カードが読み取れない。 カードを当てる位置がずれている、厚いスマホケースを着けたまま、というのが定番の原因です。スマホ用電子証明書やiPhoneのマイナンバーカード機能を設定しておけば、そもそも読み取りが不要になります。
③「仮想通貨の入力欄」を探して迷子になる。 前述のとおり専用欄はありません。「雑所得(その他)」・種目「暗号資産」です。
④一気に終わらせようとする。 作成コーナーには途中保存(データの保存)機能があり、後日続きから再開できます。損益計算が終わっていないのに入力を始めず、数字が揃ってから着手するのが結局いちばん早いです。
操作そのものはスマホで十分ですが、難しさの本体は入力ではなく損益計算です。次のようなケースでは、そもそも入力する数字を確定させる段階に論点があります。
こうした場合は、損益計算から申告まで税理士に任せる選択肢もあります。当事務所は暗号資産専門で、取引履歴さえいただければ申告まで丸投げいただけます。料金の目安は対応領域・料金のご案内をご覧ください。
Q. マイナンバーカードがなくてもスマホで申告できますか?
A. できます。税務署で本人確認のうえ発行するID・パスワード方式でe-Tax送信が可能です。ただしこれは暫定的な措置とされており、毎年使うならマイナンバーカードを取得するのが良いです。どちらも難しい場合は、作成コーナーで作った申告書を印刷して郵送する方法もあります。
Q. スマホとパソコンはどちらで申告するのが良いですか?
A. どちらも同じ作成コーナーを使うため、計算結果や提出内容は変わりません。給与+仮想通貨だけのシンプルな申告ならスマホで十分です。取引所や所得の種類が多く入力項目を見比べたい場合は、画面の大きいパソコンの方が確認しやすいです。
Q. 過去の年分の申告(期限後申告)もスマホでできますか?
A. できます。作成コーナーでは過去の年分の申告書も作成できます。期限後申告はペナルティが付きますが、税務署から連絡が来る前に自主的に申告すれば加算税が軽減されます。放置せず早めに対応してください。詳しくは申告漏れ・確定申告を忘れた場合の対処法をご覧ください。
Q. 取引所を2つ以上使っています。雑所得の入力はどう書けばいいですか?
A. 損益計算は全取引所の取引を合算して行い(総平均法)、その合計の収入金額・必要経費を入力します。入力欄は取引所ごとに行を分けて記載することもできます。取引所をまたぐと計算の難易度が一気に上がるため、件数が多い場合は損益計算ツールか税理士の利用をおすすめします。
Q. 申告書の控えはどこで確認できますか?
A. 送信直後に受付結果(受信通知)が表示され、申告書のPDFをダウンロードできます。e-Taxのメッセージボックスにも受信通知が残ります。住宅ローンや融資の審査で申告書の控えを求められることがあるため、PDFは必ず保存しておきましょう。
仮想通貨の確定申告は、マイナンバーカード+スマホでe-Tax送信まで完結します。手順は「損益計算→作成コーナーで入力→e-Tax送信・納付」の3段階で、入力先は雑所得(その他)・種目「暗号資産」——ここさえ押さえれば迷いません。
逆に言えば、スマホ申告のハードルは操作ではなく損益計算です。まずは取引所の年間取引報告書を集めて、自分の所得を確定させるところから始めてみましょう。計算が複雑で手に負えない場合は、かんたん料金診断でご自身のケースの概算を把握するのがおすすめです。確定申告全体の流れは仮想通貨の確定申告ガイドで確認できます。
※料金は税込表記。提供範囲は申込ページをご確認ください。
村上 裕一(むらかみ ゆういち)|公認会計士・税理士
村上裕一公認会計士事務所 所長。暗号資産(仮想通貨)の税務を専門とし、個人の確定申告から法人化・税務調査対応まで、暗号資産に特化した税務サポートを提供している。EY新日本有限責任監査法人出身。YouTube・Xで暗号資産の税金情報を発信中。
本記事は2026年8月時点の一般的な税務上の取扱い・e-Taxの提供機能に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。確定申告書等作成コーナーの画面・機能は毎年更新されるため、実際の申告時は最新の案内をご確認ください。税制改正や個別のご事情により取扱いが異なる場合があります。