結論確定
なります。特定暗号資産を対象にした国内の業者(第一種金融商品取引業者など)とのデリバティブ取引で、現物の受け渡しをしない決済(差金決済)のものは、開始後、FXや先物と同じ「先物取引に係る雑所得等」の申告分離課税(20.315%)に加わります。そのため、国内FXの損益とも損益通算できます。ただし現物の特定暗号資産の枠とは別枠で、現物の売却益とは通算できません。
理由
いまは、暗号資産のデリバティブ取引(暗号資産FX・先物など)の利益は、FXや株価指数先物の分離課税(先物取引に係る雑所得等)から外され、総合課税の雑所得になっています。
改正後は、この除外が「特定暗号資産以外の暗号資産」に係る取引だけに狭まります。そのため、特定暗号資産を原資産とし、第一種金融商品取引業者または登録金融機関を相手にする取引で、現物の受け渡しをしない決済(差金決済)のものは、FXや先物と同じ枠で20.315%の申告分離課税になります。開始の時期は、現物の分離課税と同じです。
現物とデリバティブは別の枠
| 取引 | 課税の枠 |
|---|---|
| 特定暗号資産の現物を国内の登録業者で売る | 特定暗号資産の譲渡所得等(租税特別措置法38条の2) |
| 特定暗号資産の暗号資産FX・先物(第一種金融商品取引業者などが相手・差金決済) | 先物取引に係る雑所得等(同法41条の14)。FX・株価指数先物などと同じ枠 |
| 海外取引所の暗号資産先物など | 総合課税 |
先物取引の枠の中では、国内FX・株価指数先物などと暗号資産FXの利益と損失を差し引きできます(損益通算)。一方、現物の枠と先物取引の枠は別で、互いの利益と損失は差し引きできません。
注意点
海外取引所でのレバレッジ取引は、国内の業者を相手にした取引ではないため、開始後も総合課税です。
根拠条文
租税特別措置法41条の14第1項2号(改正後・施行前)
…同項に規定する店頭デリバティブ取引(第三十八条の二第一項に規定する特定暗号資産以外の同法第二条第二十四項第三号の二に掲げる暗号等資産又は当該暗号等資産に係る同法第二十九条の二第一項第九号に規定する金融指標に係るものを除く。)に該当するもの(第三十七条の十二の二第二項第一号に規定する金融商品取引業者又は登録金融機関を相手方として行うものに限る。…) 当該金融商品先物取引等の決済(当該金融商品先物取引等に係る同法第二条第二十四項に規定する金融商品の受渡しが行われることとなるものを除く。)
出典:e-Gov法令検索
改正後は、先物取引の分離課税から除かれるのが「特定暗号資産以外の暗号等資産」に係るものだけになります。特定暗号資産のデリバティブも、相手方の条件を満たし、現物の受け渡しをしない決済なら対象に入ります(条文中「金融商品の受渡しが行われることとなるものを除く」)。
租税特別措置法38条の2第1項(後段)(改正後・施行前)
この場合において、特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。
出典:e-Gov法令検索
現物の特定暗号資産の損失は、先物取引の枠とも差し引きできません。
租税特別措置法37条の12の2第2項1号(41条の14第1項2号が参照する「金融商品取引業者」)
金融商品取引法第二条第九項に規定する金融商品取引業者(同法第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業を行う者に限る。…)又は同法第二条第十一項に規定する登録金融機関…
出典:e-Gov法令検索
相手方は、第一種金融商品取引業者か登録金融機関に限られます。現在、国内で暗号資産FXを提供する業者は第一種金融商品取引業の登録を受けています。
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監修・免責事項
本ページは2026年10月26日時点の法令(所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)による改正後の租税特別措置法・所得税法と同法附則、租税特別措置法施行令・同施行規則の改正(令和8年政令第98号・財務省令第21号)、地方税法の改正(令和8年法律第2号)、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)。いずれもe-Gov法令検索)に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。施行日を定める政令や国税庁の解説が公表された時点で内容を見直します。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。
この記事の執筆・監修者
公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。