結論確定
できません。特定暗号資産の利益と損失はほかの所得と分けて計算し、損失はほかの所得との関係では「生じなかったもの」とみなされます。通算も繰越も、特定暗号資産の枠の中だけです。
理由
特定暗号資産を国内の登録業者で売った利益は、給与などのほかの所得と分けて計算します。損失が出ても、ほかの所得との関係では「生じなかったもの」とみなされるため、次のどれとも差し引きできません。
| 相手 | 通算 |
|---|---|
| 同じ年の特定暗号資産の利益(事業・譲渡・雑の区分をまたいでも可) | できる |
| 総合課税の暗号資産(海外取引所・DEXでの売却、ステーキング報酬など) | できない |
| 給与所得・事業所得など | できない |
| 上場株式等の譲渡所得・配当 | できない |
| FX・先物取引(暗号資産FXを含む) | できない |
引ききれない損失は、翌年以後3年間、特定暗号資産の利益からだけ差し引けます(損失の繰越の質問)。
注意点
同じ銘柄でも、国内の登録業者で売った分は分離課税の枠、海外取引所やDEXで売った分は総合課税の枠に分かれ、枠をまたいだ通算はできません。どこで売るかで計算の枠が変わる点に気をつけましょう。今の損益通算のルールは仮想通貨の損益通算はできる?をご覧ください。
根拠条文
租税特別措置法38条の2第1項(後段)(改正後・施行前)
この場合において、特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。
出典:e-Gov法令検索
損失は、所得税のほかの規定(損益通算など)との関係では「なかったもの」になります。
租税特別措置法38条の2第2項2号(改正後・施行前)
所得税法第六十九条の規定の適用については、…「各種所得の金額」とあるのは「各種所得の金額(特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額を除く。)」とする。
出典:e-Gov法令検索
所得税法69条の損益通算の対象から、特定暗号資産の所得は外れます。
租税特別措置法施行令25条の15の2第1項(改正後・施行前)
…その年中の同項に規定する特定暗号資産の譲渡…に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額の合計額とする。この場合において、これらの金額の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額は、次の各号に掲げる損失の金額の区分に応じ当該各号に定める所得の金額から控除する。
出典:e-Gov法令検索
特定暗号資産の枠の中では、事業所得・譲渡所得・雑所得をまたいで差し引きできます。
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監修・免責事項
本ページは2026年10月26日時点の法令(所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)による改正後の租税特別措置法・所得税法と同法附則、租税特別措置法施行令・同施行規則の改正(令和8年政令第98号・財務省令第21号)、地方税法の改正(令和8年法律第2号)、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)。いずれもe-Gov法令検索)に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。施行日を定める政令や国税庁の解説が公表された時点で内容を見直します。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。
この記事の執筆・監修者
公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。