結論確定
ありません。株式の特定口座(源泉徴収あり)のように、取引所が売却益から税金を差し引いて納める仕組みは、暗号資産の分離課税にはありません。国内の登録業者で売った利益も、自分で確定申告をして納めます。なお、国内の登録業者は顧客ごとの年間の取引を税務署へ報告します(分離課税が始まった年の翌年の取引から)。
理由
上場株式等には、特定口座(源泉徴収あり)を選ぶと、証券会社が売却益から税金を差し引いて納める仕組みがあります(租税特別措置法37条の11の4)。この場合、確定申告をしなくても済みます。
暗号資産の分離課税(租税特別措置法38条の2)には、これにあたる規定がありません。国内の登録業者で特定暗号資産を売った利益も、取引所が税金を差し引くことはなく、自分で確定申告をして納めます。申告書には、計算の明細書を付けます。
取引所から税務署への報告
国内の登録業者は、顧客ごとに次のような内容を報告書にまとめ、翌年1月31日までに税務署へ提出します(この報告は、分離課税が始まった年の翌年の取引から対象です。2028年に始まる場合は、2029年の取引を2030年1月31日までに報告します)。
- 氏名・住所・個人番号(マイナンバー)
- 銘柄ごとの、年初と年末の保有数量
- その業者で買った分・売った分の金額と数量、手数料
申告しなくても税務署は取引を把握できるので、申告が必要な利益が出た年は忘れずに確定申告をしましょう。
注意点
業者の報告書に載るのは、その業者で買った分の金額だけです。海外取引所やDEXで買って国内に送った分の取得価額は、自分の記録で計算します。確定申告に必要なものは確定申告で何が必要かの質問をご覧ください。
根拠条文
租税特別措置法施行令25条の15の2第2項(改正後・施行前)
その年において法第三十八条の二第一項に規定する特定暗号資産の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得…を有する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が確定申告書を提出する場合には、財務省令で定めるところにより、当該特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額の計算に関する明細書を当該申告書に添付しなければならない。
出典:e-Gov法令検索
特定暗号資産の利益は、確定申告書で申告し、計算の明細書を付ける仕組みです。
租税特別措置法38条の2第4項(改正後・施行前)
…暗号資産取引業者の営業所…の長は、当該行為を行つた日の属する年の翌年一月三十一日までに、当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者の氏名、個人番号、当該特定暗号資産の名称その他の財務省令で定める事項を記載した報告書を作成し、当該営業所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。
出典:e-Gov法令検索
業者に課されているのは、税金を差し引くことではなく、税務署への報告です。
租税特別措置法37条の11の4第1項(参考:上場株式等の源泉徴収)
…当該源泉徴収選択口座内調整所得金額に百分の十五の税率を乗じて計算した金額の所得税を徴収し、その徴収の日の属する年の翌年一月十日…までに、これを国に納付しなければならない。
出典:e-Gov法令検索
上場株式等には特定口座で源泉徴収する規定がありますが、特定暗号資産にはこれにあたる規定が設けられていません。
所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)附則39条2項
新租税特別措置法第三十八条の二第四項から第九項までの規定は、同条第四項の暗号資産取引業者が附則第一条第十号に定める日の属する年の翌年の一月一日以後に同項の居住者又は恒久的施設を有する非居住者との間で行う同項の特定暗号資産についての同項に規定する行為について適用する。
出典:e-Gov法令検索
業者の報告は、分離課税が始まった年の翌年1月1日以後の取引から対象です。
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監修・免責事項
本ページは2026年10月26日時点の法令(所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)による改正後の租税特別措置法・所得税法と同法附則、租税特別措置法施行令・同施行規則の改正(令和8年政令第98号・財務省令第21号)、地方税法の改正(令和8年法律第2号)、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)。いずれもe-Gov法令検索)に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。施行日を定める政令や国税庁の解説が公表された時点で内容を見直します。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。
この記事の執筆・監修者
公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。