結論確定
選べません。国内の登録業者で特定暗号資産を売った分は、雑所得にあたっても分離課税になります。条文は事業所得・譲渡所得・雑所得のすべてを分離課税の対象にしていて、総合課税を選ぶ仕組みがないためです。ボット取引などで取引が入り乱れていても、所得区分でまとめて決めるのではなく、取引ごとに「何を・どこで売ったか」で分けて計算します。
理由
分離課税の条文は、国内の登録業者で特定暗号資産を売った場合の「事業所得、譲渡所得及び雑所得」を、ほかの所得と分けて課税すると書いています。雑所得も最初から対象に入っているので、「継続的な売買だから雑所得」と判定しても、分離課税から外れることはありません。
上場株式の配当のように「申告分離課税か総合課税かを選べる」仕組みもありません。条件にあたる取引は、自動的に分離課税になります。
取引が入り乱れている場合の分け方
ボット取引のように、国内と海外、売買と報酬が入り乱れていても、取引ごとに次のように振り分けます。
| 取引 | 課税のしかた |
|---|---|
| 国内の登録業者で特定暗号資産を売った・交換した | 分離課税(雑所得でも) |
| 海外取引所やDEXで売った・交換した | 総合課税 |
| ステーキング・レンディングの報酬 | 総合課税(原則として雑所得) |
| 国内取引所の暗号資産FX | 先物取引の分離課税(暗号資産FXの質問) |
「細かく分けられないから、全部まとめて総合課税で申告する」ことはできません。分けられないのは記録の問題なので、取引所ごとの取引履歴から振り分けて計算します。
注意点
- 国内の業者で売った取引は、業者から税務署に報告されます。分離課税にすべき分を総合課税で申告すると、誤りとして直すよう求められる可能性が高いです
- 課税のしかたが変わるのは、売る場所を選んだときです。国内の登録業者で売れば分離課税、海外取引所やDEXで売れば総合課税になります(かえって税金が高くなる場合)
- 分離課税の枠の中では、事業所得・譲渡所得・雑所得のどれでも税率は同じで、損失も区分をまたいで差し引けます(所得区分の質問)
根拠条文
租税特別措置法38条の2第1項(改正後・施行前)
…特定暗号資産…の譲渡(…暗号資産取引業者…への売委託により行うもの又は暗号資産取引業者に対するものに限る。…)をした場合には、当該特定暗号資産の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得については、所得税法第二十二条及び第八十九条並びに第百六十五条の規定にかかわらず、他の所得と区分し、…所得税を課する。
出典:e-Gov法令検索
雑所得も分離課税の対象に含まれています。「選択した場合に限る」といった言葉はなく、条件にあたれば分離課税になります。
租税特別措置法38条の2第4項(改正後・施行前)
居住者又は恒久的施設を有する非居住者との間で特定暗号資産についての金融商品取引法第二条第八項第十八号又は第十九号に掲げる行為を行つた暗号資産取引業者の営業所…の長は、…報告書を作成し、…提出しなければならない。
出典:e-Gov法令検索
国内の業者で売った取引は、業者から税務署に報告されます。
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監修・免責事項
本ページは2026年10月26日時点の法令(所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)による改正後の租税特別措置法・所得税法と同法附則、租税特別措置法施行令・同施行規則の改正(令和8年政令第98号・財務省令第21号)、地方税法の改正(令和8年法律第2号)、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)。いずれもe-Gov法令検索)に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。施行日を定める政令や国税庁の解説が公表された時点で内容を見直します。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。
この記事の執筆・監修者
公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。