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村上裕一公認会計士事務所MURAKAMI CPA OFFICE 見積相談

特集|令和8年度税制改正

暗号資産(仮想通貨)の分離課税特集

暗号資産(仮想通貨)の申告分離課税(税率20.315%)を税理士が解説する特集ページ。対象になるのは特定暗号資産を国内の登録業者で売る取引です。制度の概要、対象範囲、開始時期の見込み、海外取引所・DEX・損失の繰越などのよくある質問に、結論と根拠条文で答えます。

税率
20.315%所得税・住民税などの合計
対象
国内の登録業者で売る特定暗号資産に限る
開始
2028年1月1日〜以降の取引から(見込み)
損失
3年間繰越特定暗号資産の枠の中で

最終確認 2026年10月26日更新 2026年10月27日監修 公認会計士・税理士 村上裕一

令和8年度税制改正で、暗号資産の分離課税が決まりました。ここでは分離課税の概要と、よくある質問をまとめています。

暗号資産の分離課税とは|制度の概要

項目内容
対象特定暗号資産を、国内の暗号資産取引業者への売委託か、業者に対する売却で売る取引
税率20.315%(所得税15%+住民税5%に、復興特別所得税・防衛特別所得税として所得税額の2.1%分が加わる)
計算給与などほかの所得と分けて計算する(申告分離課税)
損失特定暗号資産の枠の中で通算し、引ききれない損失は翌年以後3年間繰り越せる
他の所得との通算できない(株式・FX・給与・総合課税の暗号資産とも)
開始2028年1月1日以降の取引から対象になる見込み

いまは、暗号資産の利益は原則として雑所得で、給与などと合算して最高55%(所得税45%+住民税10%。復興特別所得税を除く)の累進税率がかかります。損失は翌年に繰り越せません。新しい制度では、対象の取引に限り、税率が一律20.315%になり、損失も3年間繰り越せます。すべての暗号資産取引が一律20.315%になるわけではなく、対象は「銘柄」と「売り方」の両方の条件を満たす取引だけです。

法律(租税特別措置法38条の2・38条の3)だけでなく、計算方法や繰越の手続を決める政令・省令も2026年3月31日に公布されています。

特定暗号資産とは

分離課税の対象になる「特定暗号資産」は、金融商品取引法の「暗号資産」のうち、国内の暗号資産取引業者が取り扱う銘柄として、金融商品取引業者登録簿に名前が載っているものが基本です(租税特別措置法38条の2第1項)。国内の取引所で売買できる銘柄をイメージすると分かりやすいです。

  • 取引の状況などを見て財務省令で除く銘柄、財務省令で加える銘柄があり得ますが、その財務省令はまだ出ていません
  • USDCのような電子決済手段(ステーブルコイン)は法律上の暗号資産に含まれないため、特定暗号資産になりません
  • 国内の業者で扱いのない銘柄は、特定暗号資産になりません

ただし、特定暗号資産であっても、海外取引所やDEXで売った分は分離課税の対象外です。分離課税になるには、銘柄の条件に加えて「国内の登録業者で売る」という売り方の条件も満たす必要があります。

分離課税の対象になる取引・ならない取引

分離課税になるかどうかは、銘柄(特定暗号資産か)と売り方(国内の登録業者で売るか)の2つで決まります。どこで買ったか、いつ買ったかは条件になっていません。

取引分離課税
国内取引所で買って、国内取引所で売る対象
開始前から持っている暗号資産を、開始後に国内取引所で売る対象
海外取引所やDEXで買って国内取引所に送り、国内取引所で売る対象
海外取引所やDEXで売る・ほかの暗号資産に交換する対象外(総合課税)
ステーキング・レンディングなどの報酬対象外(総合課税)
国内の業者で扱いのない銘柄対象外

※「対象」は、その銘柄が特定暗号資産であることが前提です。

暗号資産の所得区分|取引ごとの課税方式(制度の開始後)

所得税の扱いは、取引の種類ごとに分かれます。個人が一般的な投資をしている場合の整理は次のとおりです(制度の開始後)。

取引内容所得区分の目安課税方式
国内の登録業者での売却(特定暗号資産)譲渡所得等申告分離課税 ※1
国内取引所のステーキング報酬原則、雑所得総合課税 ※2
国内取引所のレンディング報酬原則、雑所得総合課税 ※2
その他サービスのステーキング・レンディング報酬原則、雑所得総合課税 ※2
海外取引所での売買譲渡所得等総合課税 ※3
DEXでの売買・交換譲渡所得等総合課税 ※3
海外・DeFiのステーキング・レンディング報酬原則、雑所得総合課税 ※2
国内取引所の先物・デリバティブ(特定暗号資産を対象にした暗号資産FXなど)原則、雑所得申告分離課税 ※4
海外取引所・DEXの先物・デリバティブ原則、雑所得総合課税 ※3
  • 「譲渡所得等」は、取引の実態によって所得区分が異なることを含みます。売買を営利目的で継続的に行っている場合は雑所得(社会通念上事業といえる程度なら事業所得)になります
  • ※1 特定暗号資産を、国内の暗号資産取引業者に売却するか、業者への売委託で売る場合(租税特別措置法38条の2)。事業所得・譲渡所得・雑所得のどれでも、ほかの所得と分けて20.315%で課税します
  • ※2 報酬を受け取ったときの扱い。DeFiの複合的な取引は個別に確認が必要です
  • ※3 国内の登録業者で売っていない取引。総合課税の譲渡所得には2分の1の計算・50万円の特別控除がなく、損失は他の所得と通算できません(改正後の所得税法22条2項・33条・69条2項)
  • ※4 特定暗号資産を原資産とし、第一種金融商品取引業者または登録金融機関を相手にする取引で、現物の受け渡しをしない決済(差金決済)のもの。国内FXなどと同じ「先物取引に係る雑所得等」の申告分離課税(改正後の租税特別措置法41条の14)

報酬の受け取りと、その後の売却は別に判定します。ステーキングなどの報酬は受け取ったときに総合課税ですが、受け取ったコインをあとで国内の登録業者で売れば、その売却益は分離課税の対象になり得ます(受け取ったときの時価が取得価額)。

分離課税はいつから?今後の見込み

2028年1月1日以降の取引が、分離課税の対象になる見込みです。 2026年分・2027年分の取引は、今までどおり総合課税で申告します。

開始日は「暗号資産を金融商品取引法に移す改正法の施行日が属する年の、翌年1月1日」と法律で決まっています。その改正法は2026年7月23日に公布され、公布から1年以内(2027年7月22日まで)に政令で決める日に施行されます。施行日を決める政令は2026年10月22日時点でまだ公布されておらず、2026年中の施行は見込まれないため、2027年中に施行され、2028年1月1日から分離課税が始まる見込みです。正式な開始日は、施行日の政令が公布された時点で確定します。

未確定の事項

事項状況
正式な開始日2028年1月1日以降の取引からの見込み。暗号資産を金融商品取引法に移す改正法の施行日を定める政令が未公布
特定暗号資産から除く銘柄・加える銘柄財務省令が未制定
相続した暗号資産への取得費加算の特例の適用使える可能性があるが、国税庁の解説がなく未確定
国税庁の通達・FAQ(計算の実務など)未公表

よくある質問(分離課税Q&A)

各質問のページで、結論・理由・根拠条文を確認できます。

基本(いつから・税率・対象の銘柄)

所得区分・損益の相殺

対象になる取引・ならない取引

どこで売るかの選び方

  • Q. 分離課税にすると、かえって税金が高くなることはありますか?確定(開始後の扱い)

    あります。ほかに所得がなく、課税所得が195万円以下に収まる人は、総合課税なら所得税5%+住民税10%(復興特別所得税等を含めて15.105%)で、分離課税の20.315%より低くなります。分離課税にするかどうかは、国内の登録業者で売るか、海外取引所などで売るかで決まるため、所得の少ない年は総合課税のほうが有利なことがあります。

    理由と根拠条文を見る

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この記事を書いた人

村上 裕一(むらかみ ゆういち)|公認会計士・税理士
村上裕一公認会計士事務所 所長。暗号資産(仮想通貨)の税務を専門とし、個人の確定申告から法人化・税務調査対応まで、暗号資産に特化した税務サポートを提供している。EY新日本有限責任監査法人出身。YouTube・Xで暗号資産の税金情報を発信中。


監修・免責事項

本ページは2026年10月26日時点の法令(所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)による改正後の租税特別措置法・所得税法と同法附則、租税特別措置法施行令・同施行規則の改正(令和8年政令第98号・財務省令第21号)、地方税法の改正(令和8年法律第2号)、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)。いずれもe-Gov法令検索)に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。施行日を定める政令や国税庁の解説が公表された時点で内容を見直します。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。

この記事の執筆・監修者

公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一

大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。

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