結論確定
国内取引所でETHを売った分は、ETHが特定暗号資産なら分離課税になります。ただし、海外取引所やDEXで交換した時点の利益は分離課税にならず、総合課税です。海外取引所でしか買えないコインの値上がり益はETHに替えた時点で確定するため、実際には利益のほとんどが総合課税になるケースが多くなります。
理由
取引を2つに分けて考えます。
① 海外取引所・DEXで交換したとき(分離課税の対象外) 暗号資産どうしの交換は、手放した暗号資産を売ったのと同じ扱いです。海外取引所やDEXでの交換は国内の業者を通した売却ではないので、交換時の時価と取得価額の差は総合課税になります。
② 交換で手に入れたETHを、国内取引所で円に替えたとき(分離課税の対象) ETHの取得価額は、交換したときの時価です。ETHが特定暗号資産なら、交換時から国内で売るまでの値動き分が分離課税になります。
計算例|海外取引所でしか買えないコインをETHに替えて、国内で売った場合
海外取引所でしか買えないコインAを買い、値上がりしたところでETHに交換し、そのETHを国内取引所に送って円に替えたケースで計算してみましょう(手数料は考えず、ほかにETHは持っていないものとします。すでにETHを持っている場合は、原則、総平均法(届出を出せば移動平均法)で取得価額を計算します)。
| 時点 | 取引 | 金額 |
|---|---|---|
| ① | 海外取引所でコインAを購入 | 100万円 |
| ② | 海外取引所でコインAをETHに交換(交換時のETHの時価) | 900万円 |
| ③ | ETHを国内取引所に送り、円に替える | 950万円 |
| 利益の内訳 | 計算 | 利益 | 課税 |
|---|---|---|---|
| ②の交換の利益 | 900万円 − 100万円 | 800万円 | 総合課税(海外取引所での交換) |
| ③の売却の利益 | 950万円 − 900万円(ETHの取得価額=交換時の時価) | 50万円 | 分離課税 20.315% |
| 合計 | 850万円 |
利益850万円のうち、分離課税になるのは③の50万円(税額は50万円×20.315%=101,575円)だけです。残りの800万円は、②でETHに交換した時点で確定した利益で、総合課税になります。給与などと合算して累進税率がかかるため、所得によっては最高55%(所得税・住民税。復興特別所得税を除く)です。
このように、海外取引所でしか買えないコインの値上がり益は、国内で売れる銘柄(ETHなど)に替えた時点で確定します。分離課税になるのは、その後に国内で売るまでの値動き分だけです。実際には、利益のほとんどが総合課税になるケースが多いことを前提に、売る時期や方法を考えるのが良いです。
注意点
海外取引所やDEXで交換をはさむほど、総合課税で計算する部分が増えます。国内取引所でも扱っている銘柄なら、もとの銘柄のまま国内取引所に送って売ると、交換時の総合課税が発生しません(国内で扱いのない銘柄は、この方法は使えません。海外取引所やDEXで買ったコインを国内で売る場合)。
交換の記録(日時・数量・交換時の時価)は、ETHの取得価額の根拠になります。必ず保存しておきましょう。DEXのスワップの考え方はDeFiの確定申告のやり方にまとめています。
根拠条文
租税特別措置法38条の2第1項(改正後・施行前)
…特定暗号資産…の譲渡(…暗号資産取引業者…への売委託により行うもの又は暗号資産取引業者に対するものに限る。…)をした場合には、…他の所得と区分し、…百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する。
出典:e-Gov法令検索
海外取引所・DEXでの交換は国内業者への売委託でも業者に対する譲渡でもないので対象外。国内でETHを売る取引は対象です。
所得税法施行令119条の6第1項3号
三 前二号に掲げる暗号資産以外の暗号資産 その取得の時におけるその暗号資産の取得のために通常要する価額
出典:e-Gov法令検索
交換で手に入れたETHの取得価額は、交換したときの時価です。
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監修・免責事項
本ページは2026年10月26日時点の法令(所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)による改正後の租税特別措置法・所得税法と同法附則、租税特別措置法施行令・同施行規則の改正(令和8年政令第98号・財務省令第21号)、地方税法の改正(令和8年法律第2号)、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)。いずれもe-Gov法令検索)に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。施行日を定める政令や国税庁の解説が公表された時点で内容を見直します。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。
この記事の執筆・監修者
公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。