結論確定(開始後の扱い)
できません。分離課税の開始後、国内取引所での特定暗号資産の現物の売却は「特定暗号資産の譲渡所得等」、暗号資産FXなどの先物取引は「先物取引に係る雑所得等」という別々の枠で課税されます。どちらの枠も、損失はほかの所得との関係では「生じなかったもの」とみなされるため、現物の損失を先物の利益から差し引くことも、その逆もできません。損失の3年繰越も、それぞれの枠の中だけです。
理由
分離課税の開始後、国内取引所での暗号資産の取引は、次の2つの枠に分かれます。税率はどちらも20.315%ですが、計算は別々です。
| 取引 | 課税の枠 | 同じ枠に入るもの |
|---|---|---|
| 特定暗号資産の現物を国内の登録業者で売る・交換する | 特定暗号資産の譲渡所得等(租税特別措置法38条の2) | 特定暗号資産の現物の売却だけ |
| 特定暗号資産の暗号資産FX・先物(国内の業者が相手・差金決済) | 先物取引に係る雑所得等(同法41条の14) | 国内FX・株価指数先物・商品先物など |
どちらの条文も、枠の中で出た損失は、ほかの所得との関係では「生じなかったもの」とみなすと定めています。そのため、同じ国内取引所で同じ銘柄を取引していても、現物の損失と先物の利益(またはその逆)は差し引きできません。
例
同じ年に、国内取引所でBTCの現物を売って100万円の損失、BTCの暗号資産FXで100万円の利益が出た場合です。
- 現物の枠:100万円の損失(先物の利益とは差し引けず、翌年以後3年間、特定暗号資産の利益から差し引ける)
- 先物取引の枠:100万円の利益に20.315%の分離課税(203,150円)
トータルでは損益ゼロでも、先物の利益には税金がかかります。
注意点
- 損失の3年繰越は、どちらの枠にもあります。ただし、繰り越した損失を差し引けるのは、同じ枠の利益からだけです(現物は租税特別措置法38条の3、先物は同法41条の15)
- 暗号資産FXの損失は、国内FX・株価指数先物などの利益とは、同じ先物取引の枠の中で差し引けます(暗号資産FXの質問)
- 2027年分までの現行制度では、国内取引所の現物も暗号資産FXも総合課税の雑所得なので、雑所得の中で差し引けます
根拠条文
租税特別措置法38条の2第1項(後段)(改正後・施行前)
…この場合において、特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。
出典:e-Gov法令検索
現物の枠の損失は、先物取引の枠を含め、ほかの枠や所得との関係では「なかったもの」になります。
租税特別措置法41条の14第1項(後段)(改正後・施行前)
この場合において、先物取引に係る雑所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。
出典:e-Gov法令検索
先物取引の枠の損失も、現物の枠との関係では「なかったもの」になります。
租税特別措置法38条の3第1項・41条の15第1項(改正後・施行前)
…当該確定申告書に係る年分の同項に規定する特定暗号資産に係る譲渡所得等の金額を限度として…控除する。 / …当該確定申告書に係る年分の同項に規定する先物取引に係る雑所得等の金額を限度として…控除する。
出典:e-Gov法令検索
繰り越した損失を差し引けるのも、それぞれの枠の利益からだけです。
ご相談の入口
- まだ情報収集中の方:公式LINE(無料特典3点・1問無料質問)→ 公式LINEはこちら
- 申告を依頼したい方:無料見積もり(フォーム送信後、税理士が2営業日以内にメールでお見積もりをお送りします)→ 無料で見積もりを依頼する
- 個別の税務判断を相談したい方:税務スポット相談 45分 ¥33,000(税込) → お申し込みはこちら ※料金は税込表記。提供範囲は申込ページをご確認ください。
監修・免責事項
本ページは2026年10月26日時点の法令(所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)による改正後の租税特別措置法・所得税法と同法附則、租税特別措置法施行令・同施行規則の改正(令和8年政令第98号・財務省令第21号)、地方税法の改正(令和8年法律第2号)、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)。いずれもe-Gov法令検索)に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。施行日を定める政令や国税庁の解説が公表された時点で内容を見直します。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。
この記事の執筆・監修者
公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。