結論確定
別々には計算しません。取得価額は、取引所やウォレットに関係なく、同じ銘柄をまとめて原則、総平均法(届出を出せば移動平均法)で計算します。そのため、同じ時期に国内取引所(分離課税)と海外取引所(総合課税)で売っても、1枚あたりの取得価額は同じです。
理由
暗号資産の取得価額は、銘柄ごとに、原則、総平均法(届出を出せば移動平均法)で1枚あたりの金額を計算します(所得税法施行令119条の2)。区別するのは銘柄だけで、国内取引所・海外取引所・ウォレットのどこで持っているかでは分けません。
分離課税が始まっても、この計算方法は変わりません。変わるのは、売った場所に応じて「分離課税の枠」と「総合課税の枠」のどちらに利益を入れるかだけです。
例で考えてみましょう
同じ年に、BTCを国内取引所で1枚、海外取引所で1枚売ったとします(総平均法で、1枚あたりの取得価額は300万円、売った値段はどちらも1,000万円)。
| 売った場所 | 利益 | 課税 |
|---|---|---|
| 国内取引所 | 1,000万円 − 300万円 = 700万円 | 分離課税(20.315%) |
| 海外取引所 | 1,000万円 − 300万円 = 700万円 | 総合課税 |
「安く買った分を国内で売り、高く買った分を海外で売る」といった取得価額の選び分けはできません。
注意点
- 移動平均法を選んでいる場合は、売る時期によって1枚あたりの取得価額が変わることがあります
- 評価の方法を届け出ていない場合は総平均法になります。移動平均法にしたいときは、その銘柄を初めて取得した年分の確定申告期限までに届け出ます
根拠条文
所得税法施行令119条の2第1項
一 総平均法(暗号資産…をその種類の異なるごとに区別し、その種類の同じものについて、その年一月一日において有していた種類を同じくする暗号資産の取得価額の総額とその年中に取得をした種類を同じくする暗号資産の取得価額の総額との合計額をこれらの暗号資産の総数量で除して計算した価額をその一単位当たりの取得価額とする方法をいう。)
出典:e-Gov法令検索
区別するのは「種類(銘柄)」ごとで、どの取引所で持っているかでは区別しません。
所得税法48条の2第1項(改正後・施行前)
居住者の暗号資産につき第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額若しくは雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は第三十八条第一項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定によりその者の譲渡所得の金額の計算上取得費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日において有する暗号資産の価額は、その者が暗号資産について選定した評価の方法により評価した金額…とする。
出典:e-Gov法令検索
事業所得・譲渡所得・雑所得のどれでも、同じ評価の方法で取得価額を計算します。
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監修・免責事項
本ページは2026年10月26日時点の法令(所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号)による改正後の租税特別措置法・所得税法と同法附則、租税特別措置法施行令・同施行規則の改正(令和8年政令第98号・財務省令第21号)、地方税法の改正(令和8年法律第2号)、金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第64号)。いずれもe-Gov法令検索)に基づき、村上裕一公認会計士事務所が監修しています。施行日を定める政令や国税庁の解説が公表された時点で内容を見直します。個別のご事情により実際の取扱いは異なります。
この記事の執筆・監修者
公認会計士・税理士/村上裕一公認会計士事務所 代表村上 裕一
大手監査法人での監査実務、事業会社の経理財務、税理士法人の勤務を経た後、村上裕一公認会計士事務所を立ち上げる。仮想通貨の税金を専門とする税理士として、仮想通貨の様々な税金のご相談や顧問を手掛け、多くのお客様の仮想通貨の税金のお悩みを解決しています。